池上彰×津田大介 【第2回】「テレビを見ない池上さんがテレビに出るのはどうしてですか?」

共著『メディアの仕組み』記念対談

テレビを見ないのにテレビに出る理由とは

津田: この本の中でも池上さんは「テレビを見ない」ってハッキリ言っているのでこれを聞くこと自体が愚問のように思いますが、民放の番組などで、この番組はおもしろいな、というのは何かあったりしますか? ご自分が出演している番組以外ではどうですか?

池上: 何しろ見ませんから(笑)、答えようがないという話で。

津田: そうですよね(笑)。だとすると、そこまでそこまで新聞がお好きでテレビを見ない池上さんが、なぜいろいろな依頼があったときに、テレビ出演の仕事を受けられるのかな、という素朴な疑問があるんですが。

池上: それはニュースをみんなに伝えたいから、ということですね。なんで記者になったのかとよくよく考えてみると、「ねえねえ、知ってる? こんな話があるんだよ」って、そういう素朴な感覚で、初めて知ったことを他の人に知らせたいという欲求がみんなあるでしょう? それを満たすために記者をやっていたんだな、と。

今になってフリーランスでいろいろなことをやっていると、たとえば新聞なんかでも「わかりにくいよな、これ」と。こんな記事だとわかりにくいけど、これは実はこういうことだよ、とわかりやすく説明すると、周りの人やテレビを見ている人が「へえ、そうなの」と言ってくれるじゃない、ということに気がつくと、やっぱりそれを伝えたくなるんです。そういう場があるといいな、と思ってつい受けちゃうことがあるんです。

津田: その「伝える」ということが非常に重要で、それを伝えることでNHKとか新聞では数百万人とか数千万人単位の人に情報が届くわけですね。そうやって多くの人に知れ渡ることで、世の中が動いたりもするじゃないですか。政治が動いたりであるとか。そういうふうに、自分が報じたことがきっかけで世の中が動いたということが多分いくつもあると思うんですが、そのなかで何か印象的だったことというのはありますか? ポジティブなものとネガティブなものがあると思うんですが。