池上彰×津田大介 【第1回】「オールドメディアを過大評価する必要はないということを伝えたいのです」

共著『メディアの仕組み』記念対談

池上: 担々麺が美味しかったですね(笑)。

津田: あそこはおすすめですね。

僕が元々池上さんとお会いして、こんなふうに一緒に共著を出させていただくことになる最初のきっかけになったのは、2010年くらいの秋ごろに、ITmediaがが制作するネット番組でワークスタイルの話をするという企画があったんです。それまでも池上さんのことはずっと本やテレビで拝見させていただいていたんですが、そのとき対談という形で池上さんにいろいろなことをお聞きしたのがいちばん最初の出会いでした。

あれも今日みたいな形で、公開収録イベントをネットで中継しているような感じだったんですが、そのあと、ちょうど震災の直前に収録した「池上彰くんに教えたいニュース」という日テレの番組があって、そこで僕が池上さんにTwitterを教えるという恐れ多い企画があって(笑)。あれが2回目の出会いでした。

あのとき何が大変だったかというと、テレビなのでかなり段取りがしっかりしているんですよ。台本なんかもかなり作り込んでやっていて、それで「池上さんからこんな質問がきます」というのが事前にあって、打ち合わせもかなりしっかりして、自分も想定問答のようなものを作っていたんですが、ところが実際に番組が始まったら、まったく想定問答とかを無視して池上さんがどんどん質問してくるんですね(笑)。あれはけっこう緊張する瞬間でしたね。

池上: あれは他の人たちもやたらに緊張していましたね。

津田: そうなんですよね。僕たちが池上さんに対してプレゼンをするという形だったんですが、プレゼンをすると「これはこうなんじゃないですか?」みたいな形で、もう矢継ぎ早に質問が来る。僕の場合は、大体2問目くらいの質問からいきなり台本にないことを聞かれた段階で、「ああ、池上さんはガチで台本なんか無視してくるつもりだな」と理解できたので、何とか立て直して最後までいけました。

池上: 途中で立ち往生して汗をダラダラ流している若者もいましたね。

新聞10紙にどうやって毎日目を通すのか

津田: その後も、朝日新聞のフォーラムやニコファーレのイベントなど、いろいろな場所でご一緒させていただく機会に恵まれて、メディアについて意見交換させていただくようになったんです。

井之上さんのほうから「池上さんとの対談本を出しませんか?」というお話があったときに、僕が思ったのは「あの忙しい池上さんが受けてくれるわけがないだろう」ということでした。でも、井之上さんは「ちょっと外堀を埋めてから池上さんに諮ってみます」ということだったので、期待して待っていたら「OKです」という話になったんですが、この話を受けてくださった決め手になったことは何だったんですかね?

池上:それはだって、津田君と話をしていると、Twitterをはじめ今の新しいメディア状況とか、それがどのように使われていくのか、とかね、そういうことが本当に勉強になるんですよ。だから、会っていろいろ話をすることによって自分の勉強になる、そういうチャンスってなかなかないですよね。だから、とっても自分のためになると思ったから受けたというところですね。

津田: ありがとうございます。この『メディアの仕組み』という本の中でも、情報のインプットというのがテーマになっていて、僕は大体ネットからのインプットが三割くらいで、新聞とか新書などの文字情報がやっぱり三割くらい、残りの四割くらいは人づてに取材をしているのがインプットに当たるんですが、池上さんはやっぱり新聞がインプットの中心なんですよね?