三田紀房『砂の栄冠』に学べ!
高校野球を"興行"の視点から分析する「甲子園研究所」
講義(5)応援で勝つ~ブラバン勝ちを狙え~

応援に問われるオリジナリティ

所長 そうそう。だからオリジナル曲が必要なんだよ。『駒大コンバット』もそうだけど、天理の『ワッショイ』とか平安の不気味なチャンステーマとか「この曲を聞いたらあの学校だ」と思われる曲を持っているかどうか。これは大きい。勝ち進んだり、常連になれば、お客さんが自然と口ずさんで手拍子をしてくれるようになるからね。

駒苫はここに徹底的にこだわっていて、選手個々のテーマも『真赤な太陽』とか『ジーパン刑事のテーマ』とか『じんじんさせて』とか他校が使わない曲をやっていた。ブラバンもうまいし、北海道では他校の監督から「あの応援は反則だ」と言われるぐらいだった。

助手 そういう意味で、オリジナル曲の作曲を依頼した七嶋はすごいですね。応援の大事さに気づいているんですから。

所長 それだけ七嶋は甲子園で勝ちたい気持ちが強いということだろう。オリジナル曲を演奏することは、作曲や練習も含め、それだけ時間を費やしているということ。努力している証拠だ。だからこそ、その応援にも価値が出てくる。

人が作ったものではなく、自分たちで作った曲を発表する。その時点で応援する側にも気合が感じられるよね。うまいヘタより、そういう気持ちが大事。そうでなければ、甲子園の神様はふりむいてくれない。

助手 常連校には安定感や安心感がありますもんね。智弁和歌山の『アフリカン・シンフォニー』を聞くと、「今年も始まったな~」なんて。紅白歌合戦の北島三郎みたいに、ないとさびしい感じすらありますから(笑)。

ネット裏のオタクの中にはそれを楽しみにしてる人もいる。優勝はしなくていいけど、3試合ぐらいはこの応援聞きたいな」なんて(笑)。そんな中で初出場校や馴染みのない学校なんかは、相当がんばらないと「おっ」と思ってもらえないですよ。

所長 夏なんか1日4試合もあるんだから、当たり障りのない定番曲のくり返しなんて寝ちゃうよね(笑)。やっぱり、お客さんが注目しないと盛り上がらない。初出場で「何もできずに終わりました」なんていうのは大体そのパターン。

中には智弁とやるのに、のんきに『アフリカン・シンフォニー』を演奏してる学校もある。応援からしてそんなにスキだらけじゃ、勝てるわけがない。

助手 そういう意味では、習志野の応援は最高ですね。何しろ、ものすごい大音量。隣の人と会話もできなければ、ラジオも聞こえない。あれじゃあ、寝られません(笑)。

所長 おまけに『レッツゴー習志野』というオリジナル曲まであるからね。迫力に加え、「応援で絶対負けない」という執念もある。大戦力だね。