山中伸弥、巨人・越智、大場久美子・・・どん底、虐待、難病。乗り越えたからこそ「今」がある

苦難こそ、人を作る「感動の読み物」第1回
週刊現代 プロフィール

「1億人の妹」のキャッチフレーズでトップアイドルの座に上り詰め、今は女優として活躍する大場久美子(53歳)。だが、上述の言葉通り、華やかな経歴の裏で、彼女が歩んできた人生は壮絶そのものだ。

 '92年、32歳で1億2000万円の借金を背負い、自己破産を記者会見で発表したのは有名なエピソード。だが、そんな彼女を今度はパニック障害が襲った。

「最初の発作は、どんな時も私の味方だった母の死の直後でした。当時、私は40歳。母の葬儀の翌日、突然動悸が激しくなり、30分も続いたのです。最初は心臓病や更年期障害を疑いましたが、病状は一向に改善しなかった。それどころか発作の頻度は増え、呼吸ができず、窒息してしまうのではないかと恐怖に襲われるほどでした。理由もなく不安感に苛まれることも多くなりました」

 だるくてベッドから起き上がれず、人ごみが怖くて街を歩けないこともあった。個室で空調の音を聞くと、閉じ込められる気がして動悸が速まる。

「密室にいると、『ここで発作が起きたらどうしよう、逃げられない』と想像してしまうんです。車で渋滞にハマると叫びだしたくなる。飛行機も、息が詰まりそうで乗れませんでした。美容院で髪を洗うとき、顔にタオルをかけられるのも苦しくて耐えられない。それでも人に迷惑をかけてはいけないので、仕事が始まれば必死でシャキッとする。だから、周囲の人になかなか理解してもらえませんでした」

 病院に行っても病名がわからず、軽い安定剤を処方されるだけで、どんどん症状は悪化していった。そんな時、知人に紹介された心療内科で、初めて「パニック障害」と診断された。最初の発作から、実に4年が経過していた。

「同じ病で苦しんでいる人もいるんだと思うと、少しだけ心が楽になりました。病名が分かったので、発作時の対処法も自分なりに探し始めました」

 そして、母親を亡くした年に結婚した6歳年下のダンサーと離婚。より一層真剣に、パニック障害と向き合い、克服するための選択だった。

 自ら認知行動療法を学び、心理カウンセラーの資格も取得。勉強を進めていく中で、自身の病の背景が見えてきた。

「『セルフカウンセリング』で、自分が何に恐怖を感じるのか、その根源を探ってみたんです。すると、自分は大きな音が怖いのだとわかった。さらにその理由を掘り下げていくと、幼い時の両親の夫婦喧嘩での大きな怒鳴り声がトラウマとして浮き彫りになりました。父は厳格すぎるところがあり、たとえば箸の持ち方が変だとか、ほんの些細な間違いでも怒鳴りつけてくる。元日からテーブルをひっくり返したこともあります。

 両親の諍いが絶えない家に育ち、子どもの頃、私は父の大きな声にいつもビクビクしていたんです」

 今思えば、病気の引き金となったのは母の死だが、その根底には、育った環境が複雑に絡み合っていたという。