子宮頸がん 原因をめぐってこんな大論争ご存じですか

週刊現代 プロフィール

いったい誰が悪いのか

 では、私たちの知らない子宮頸がんとは実際のところ、どのような病気なのか。

「子宮がんのなかでも、子宮の入り口周辺に発生するがんを子宮頸がんといいます。そして子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスへの感染が原因で発症することが多いのです」

 こう話すのは、国立国際医療研究センター・国際感染症センターで感染症対策専門職を務める堀成美氏だ。

 実は、HPV自体はごくありふれたウイルスだ。150~200以上もの種類があるが、なかには皮膚にできる、ごく普通のイボを作るものもある。

「一方、ハイリスクHPVのなかには、がんの原因となる型もあります。このハイリスクHPVの一部は、性器の内部にある細胞をとくに好んで、そのなかに入り込む性質がある。そのため、セックスによる粘膜の接触が、主要な感染経路になるのです」(堀氏)

 主に、セックスで感染する—。つまり女性に感染する前に、男性器にウイルスが定着、感染していたから、女性はHPVを受け取ってしまうのだ。

 こう聞くと、冒頭の女性の夫のように、「ほら見ろ、俺は何ともないのに妻がウイルスを持っているなら、誰かと浮気したんじゃないか」と考えてしまう男性もいるかもしれない。

 日本家族計画協会クリニック所長の北村邦夫氏はこう指摘する。

「たしかに、HPVは性交経験がある男女であれば誰でも感染する可能性があり、男性にも影響があります。

 HPVのなかでも6型、11型は男性も発症する尖圭コンジローマを引き起こします。男性の陰茎がん、肛門がん、咽頭がんなども16型、18型のHPVが原因となる場合がありますが、発生頻度が子宮頸がんの10%程度と低いのです」

不潔な男性器が原因か

 つまり、男性は感染しても病気に至ることがまれなために、ほとんどの男性はHPVのことを意識していない。ウイルスを持っていながら、それを意識せず女性に感染させてしまうことも多いのだ。前出の夫のように短絡的に浮気を疑うのは筋違いも甚だしいということだろう。

 こうして、これまであたかも女性にばかり原因があるかのように言われてきたHPV感染には、男性も大きな役割を果たしているという知識がいま少しずつではあるが普及し始めている。すると、それにつれて長年、一方的な偏見に苦しめられてきた女性たちのなかからは、こんな声も上がり始めている。