首位巨人とのアツい試合が終わり、静けさが戻ったナゴヤドームのグラウンド。そこに、シーズン中としては異例の2年総額4億円の契約延長を決めた中日ドラゴンズのヘクター・ルナ内野手(33)が短パン&Tシャツ姿で現れた。その隣で、左手にキャッチャーミット、右手でルナにヨシヨシしているのは、ん……誰だ?
「私はルイス・フランシスといいます。いま、ブルペンキャッチャー兼通訳として中日にお世話になっているんですよ」
あまりに流暢な日本語に記者がたじろぐと、ルナとルイスは顔を見合わせて「ハハハッ」と笑顔に。6月途中まで驚異の打率4割をキープ、7月16日現在も3割6分9厘で打率トップを走るルナにとって、欠かせない存在がこのルイスという男なのだ。ルナが打ち明ける。
「ルイスもボクもドミニカ出身なんです。ボクは自分のことをわりといい選手だと思っていますが、チームのことや相手ピッチャーについてなど、ルイスがいろいろ教えてくれていることも、打撃好調の大きな理由ですね」
ルナのルイス評を隣で聞いた本人は、思わず照れ笑い。そもそも、なぜ日本の球団のブルペンキャッチャーになったのだろうか。ルイスに聞いた。
「私はカープアカデミー出身で、三村敏之さんが広島の監督を務めていた '97 年にテストを受けたんですが、契約には至りませんでした。でも、球団から『裏方として残りたいんだったらそれでもいい』と言ってもらいまして。もともと日本の文化や教育、上下関係の厳しさが好きだったんですよ。以来、広島で10年、中日で7年間、お世話になっています。このままずっと裏方としてやっていきたいですね」
品のいい敬語を駆使して話すルイスは、来日してすぐに漢字の勉強を始めた日本通。好きな漢字を尋ねてみると、「島です」と即答。それって広島の島じゃ……?