特別読み物「ムムム農場」にすべてをかけた元日銀支店長の楽しき人生 農薬ナシ、化学肥料ナシ、畜産廃棄物を使わない画期的農法

週刊現代 プロフィール

 一般的にダイコンができるまで約100日かかります。種をまき、堆肥をやり、時には病害虫を退治し、収穫し、販売店に届け、ようやく1本100円。これだけの重労働で、儲けは1本40円程度。若者が農業従事者になるわけがありません。

 現在「ムムム農場」の販売ルートは、登録してもらった会員へ毎月2回、野菜を届ける販売方法しか出来ていません。販売価格は9800円。会員数は徐々に増えているものの、設備投資と従業員の給料にかなりの資金を使ったため、まだ利益を出せていません。多くの販売ルートを見つけないことにはビジネスとして成り立ちません。いま、いろいろな企業と販売ルート確保に向けて、交渉している最中です。それが私の最も重要な仕事です。

 私は本当においしい、付加価値のついた野菜なら、高くても十分売れると思います。海外の富裕層にも売る。たとえば中国の富裕層は、自国の農作物を信用していませんからね。さらには、ピューレにすれば日持ちがいいからより販売先が増える。砂漠化に悩む国に土を売って、緑化ビジネスをはじめてもいい。「いいものを、高く売る」ビジネスを実証したいと思っています。

 TPP参加問題に対しても、海外に日本の野菜を輸出するチャンスだと考えるべきです。

 まずは「ムムムの野菜」を香川ブランドにして、次は四国、やがては日本農業のブランドにして、世界に輸出できるようにしたいと思っています。成功しないと言う人もいるかもしれませんが、未知なることにチャレンジできていること自体で充実感にあふれた毎日を過ごせています。

 私がこれまで培ってきたものすべてをかけて、この農業ビジネスを成功させたいと思っています。

「週刊現代」2013年7月27日・8月3日合併号より