特別読み物「ムムム農場」にすべてをかけた元日銀支店長の楽しき人生 農薬ナシ、化学肥料ナシ、畜産廃棄物を使わない画期的農法

週刊現代 プロフィール

「ムムムの農法」は山西社長と、農協を退職された指導者の方と一緒に研究したものです。

 まず、刈り取った雑草を最低でも1年寝かして発酵させます。ユンボ(ショベルカー)でたまに攪拌し、土の中に眠っている菌に働いてもらい、養分を含んだ土に戻します。

 播種・苗の植え付け時にはお米のもみがらの燻炭(くんたん=燻し焼きにした炭)を土に加えます。燻炭は伝統的に使われてきた土壌改良剤で、植物に白い綿のような毛根の発生を促し、養分吸収を助けます。害虫は殺さず「遠ざける」。これには燻炭を作る時にできる「木酢」を希釈し、その匂いで害虫を遠ざけます。

 さらには養分として、四国東部で栽培されるサトウキビ・和三盆の糖蜜や、自然界のドクダミ、ヨモギ等の成長点(先端)を収穫して作った発酵青汁などを使い、植物の自然の力を活かします。できあがった作物は、なんと「腐らない」。雑菌を寄せ付けず、放っておくと干乾びていくのです。

 苦労の甲斐あって、初めて、「ムムムの野菜」を食べたとき、そのおいしさに感動しました。

 これで「よい農法ができた!」と思いました。しかし、私たちだけが事業を成功させればよいわけではない—そう思い、農法を公開、むしろ積極的に伝えることにしたのです。

高くても売れる野菜

 日本の農業の担い手の平均年齢は、すでに70歳に近い。後継者もなかなかいません。では、どうすれば若い担い手が出てくるか。ずばり、ビジネスとして魅力があればよいのです。

 日本で農業を? と疑問に思うかもしれませんが、統計を見ると、日本は巨大なポテンシャルを秘めていることがわかります。現在、日本の食料自給率は39%とされていますが、これは間違いです。

 たとえば牛肉は42%が国産ですが、牛の飼料を海外から輸入していることから、牛肉の自給率は11%とかなり低く計算されています。これは数字のマジックです。本当の自給率は、生産額ベースで示されるべきであり、これだと、日本の自給率は69%になります。また、日本の農業生産額は年間826億ドル(約8300億円)。中国、米国、インド、ブラジルに次ぐ世界第5位なのです。自給率39%というのは、危機感を煽るべく、一部の官僚によって作り出された数字なのです。

 これだけ自給率が良くて、なぜ農業が危機を迎えているのか。とにかく、お金にならないからです。