二宮寿朗「関塚ジュビロ、名門復活なるか」

二宮 寿朗 プロフィール

「あと一歩」を突破

 関塚の優れた人心掌握術は、これまでのキャリアも関係しているように思える。Jリーグがまだ誕生していない時代。早稲田大学出身の関塚は本田技研に入団し、社会人生活も経験している。引退後は早大監督、そして鹿島アントラーズのコーチとして長年、ブラジル人監督を支えてきた。社会人、大学の監督、そしてプロのコーチ。様々な立場で組織に携わってきたことが今の指導哲学に反映されているのではないか。

 教師や企業の管理職として働いている友人に若い人への接し方などを積極的に聞いて、「意見を参考にすることもある」と彼は言っていた。今の若い人の思考法や特性に対して、彼は常にアンテナを張ってきた。

 そんな関塚がJリーグに戻ってきた。ロンドン五輪以降、「やっぱり現場が一番いいですよ」と現場復帰への思いを口にしてきた。シーズン途中からとはいえ、五輪で実績を残した関塚のJリーグ復帰は、国内サッカーを盛り上げる意味でも歓迎すべきことである。

 また関塚自身、フロンターレを強豪クラブに育て上げたものの、あと一歩のところでタイトルを逃がしていた。いいところまでは行く、しかし、最後の最後で勝てないという経験を繰り返してきた。ロンドン五輪でもメダルにはあと一歩、届かなかった。「メダルを取れなかったのは僕の宿題です」と、彼は言った。今季は厳しい状況であるものの、今後、ジュビロの監督として「あと一歩」を突破する強い覚悟を秘めているに違いない。

 彼の座右の銘は「継続は力なり」だ。日々、鍛錬を続けていくことで必ずや強くなる。それはフロンターレでも、ロンドン五輪でも証明してきた。名門が関塚の手でどう復活していくか。お手並み、拝見である。