堀井雄二×安藤美冬 【第4回】
自分でさえ思い通りにいかないのに、ほかの人が思い通りになるわけがない

[左]安藤美冬さん(spree代表取締役/フリーランス)、[右]堀井雄二さん(ゲームデザイナー)

【第3回】はこちらをご覧ください。

とぼけたセリフでギャップ萌えを求めた

安藤: 堀井さんが、ゲーム作りで大事にしていることを3つ挙げているのを読みました。その3つとは、「安心感と温かみ」、「自由に遊べる」、「分かりやすい」。例えば1つめの「安心感」と「温かみ」って、堀井さんの作品に共通していますよね。

 父親がモンスターに殺されたり、仲間と離別したり、強い敵と戦い続けたりというような、ある意味でシリアスになりがちな物語を、可愛らしいキャラクターと、ユーモラスな会話でプレイヤーをほっこりさせる。宿屋のおじちゃんが冗談を飛ばしたりとか(笑)。そういう演出でRPGにありがちなシリアスさがほどよく中和されて、ポジティブな気持ちになれるところが、私はすごく好きなんです。

堀井: ありがとうございます。

安藤: 「安心感」と「温かみ」にこだわっているというのは何か理由があるのですか?

堀井: やっぱりコンピューターって冷たいイメージがあるじゃないですか。なんで中世を舞台にしたかというと、そういうのも理由のひとつ。SFにしちゃうと、より冷たい感じになっちゃったと思うんです。中世、魔法っていうと、なんか温かい感じがして、ちょっととぼけた人がいてもいいんじゃないかな、みたいな。

 「コンピューター=冷たい」と思っていたところに、何かとぼけたセリフが来たら、"ギャップ萌え"じゃないけど、「え? なにこれ。面白い」っていう(笑)。

安藤: そうですね、確かに。ギャップ萌え(笑)。

堀井: それはあると思うんです。そういう「わくわくする感覚」も大切にしています。理屈じゃなくて感覚かなっていうのが・・・。そのへんなんですよ。

安藤: 「コンピューターではなくて、向こう側にいる作り手を見てほしい」という発言を以前されていたのも、そういうことでしょうか?

堀井: そうですね。ともすると、コンピューターで、こんなに凄いことが出来るんだと、技術を見せがちになってしまうんですね。そうではなくて・・・ということです。

安藤: 「血が通った人間」がつくっていることを、感じさせてくれるエピソードですね。ありがとうございます。

 さて、ここまでずっと『ドラゴンクエスト』をはじめ、いろいろなゲームに携わってきた堀井さんですが、ゲーム作りを通じて、一貫して何を世の中に伝えているのでしょうか? 1つは、「成長物語」というキーワードがあるのかなと思うんですけれども。

堀井: いろんな作品がそうであるように、感情移入するというか、もう1つの人生を体験するっていう意味ですよね。映画もそうだし、小説もそうだし、いろんなエンタテイメントはそういうものですよね。違う自分になれる、みたいな。多分ドラクエによって、そういうところがより強く出るんじゃないかなと思うんですよね。

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