参院選「アベノミクスは、この秋からが見もの、そして、来春が正念場」「既得権と闘えるのは誰か」ほか

古賀 茂明 プロフィール

その3.憲法改正も極めて重要な争点

【みんなの党は事実上改憲反対】
 憲法改正に関する世論の警戒感が出てきてから、安倍氏の改憲への前のめりの姿勢は一気にトーンダウンした。米国がこれに不快感を示し始めたことの影響もあり、安倍氏の側近たちも憲法論議を極力抑えるように安倍氏に助言しているそうだ。これが功を奏して、改憲問題は、選挙の争点から消えかかっている。

 しかし、選挙後には、憲法96条の改憲手続きを改正して衆参過半数の賛成で改憲をできるように緩和する可能性が出てきている。公明党が反対するとしても、維新の会と民主党の改憲論者を集めれば、それが可能になるかもしれない。現に、安倍氏は、民主党の議員に呼びかけるという趣旨の発言をして、民主党海江田代表の反発を買ったくらいだ。

 そこで注目が集まるのが、みんなの党の改憲に関する姿勢の変化だ。同党は、以前から96条改正には賛成の立場だったが、ここへ来て、急速にトーンを変えている。改憲のプライオリティは低いと渡辺代表が明言し、公務員改革や公務員の大幅削減などを実施しなければ、改憲には応じないとしている。「改憲の前にやるべきことがある」というのだ。

 これは、事実上改憲に反対しているのと同じだ。・・・・・・

その4.憲法21条が気になる

【公共の利益に反する言論が制限される】
 ところで、96条改正や9条の改正がことさら議論になっているが、私は、憲法21条改正が最大の問題だと思っている。動画版でも述べたとおり、私の今日があるのは、まさに憲法21条のおかげと言っても過言ではない。経産省時代に、公務員改革や東電破たん処理論、電力システム改革論などを対外発信する際、さらに『日本中枢の崩壊』や『官僚の責任』などを出版する時、その都度、経産省に了解を求めたのに対し、経産省はいつも、それに反対した。

 しかし、私は、憲法21条が表現の自由を保障していることを論拠として、仮にその自由を制限するなら、具体的な法的根拠が必要だと経産省に求めたのだ。そして、私の主張の何がいけないのか、そして、何を根拠にそれを止めようとしているのかをしつこく聞いた。その結果、いつも、経産省は答えられず、最後は、仕方ないと黙認したのである。

 現在の自民党の憲法改正草案は、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」という内容だが、こうした条文を入れる目的は明らかだ。自らの政策に異を唱える言論を抑え込もうということに他ならない。その行き着く先は、表現の自由に対する一般的な制限だろう。

もし仮に、21条が改正されて、公益に反する言論は制限できるなどという条文が入ったら、真っ先に、国家公務員法に、21条に基づいて、「国家公務員は公共の利益に反する意見表明をしてはならない」という条文を入れて、違反者に罰則を適用するというような法改正が直ちになされるだろう。ありとあらゆる法律に同様の規制が導入される。

 さらには、企業と労働者との間の契約にも、公共の利益に反する意見表明を行ってはならないなどという条項が入るかもしれない。そんなことになったら殆どの個人が自由に意見を言うことをためらうようになるかもしれない。政府の政策は、公共の利益のために実施されるから、それに反対することは、公共の利益に反するなどということにもなりかねない。・・・・・・

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