[アイランドリーグ]
香川・又吉克樹「憧れの館山(ヤクルト)と同じ舞台へ」

2013年注目選手に訊く Vol.1
スポーツコミュニケーションズ

四国でつかんだ2種類のスライダー

――変化球はスライダーやシンカーなどを投げます。西田真二監督や伊藤秀範コーチは「変化球の精度を高めることが今後の課題」と話しています。
又吉: スライダーに関しては四国に来て、だいぶ良くなりました。きっかけをつかんだの5月のソフトバンク3軍戦。この試合は真っすぐが悪くて、スライダーに頼らざるを得なかった。それまでの僕は「スライダー=曲げる」というイメージが強かったんです。何とかボールを曲げようとしてひねり上げていると、試合が進むにつれ、腕がだんだん疲れてきました。そんな時、1球、スライダーが抜けた。「ヤバイ」と思ったら、ワンバウンドしてバッターが空振りしてくれました。「あっ、今の感覚でもう1回投げてみたい」と、翌日からブルペンでいろいろと試してみたんです。おかげで空振りをとるスライダーと、カウントをとるスライダーの2種類を投げ分けられるようになりましたね。

――偶然の1球がヒントになったわけですね。その2種類のスライダーの違いは?
又吉: カウントをとるスライダーは中指と人差し指の間でボールの縫い目を挟むように握って、指の付け根でスピンをかけるイメージです。一方、空振りをとるスライダーは縫い目に対して指を斜めにかけ、ひねるのではなくストレートと同じ腕の振りで縦に切る。大学時代に同じサイドのピッチャーがいて、スライダーを縦に切るという話は聞いていましたが、その時は理解できなかった。四国でこの投げ方をつかんでからは腕の負担も軽くなりました。ただ曲げるのではなく、あそこから曲げて、こう落とすというイメージを持てるようにもなってきたので、あとは曲がり幅を調整したり、狙い通りに投げられる確率を高めたいと考えています。

選手として芽が出ない時間が長かった分、「野球についていろいろと考える習慣がついた」と明かす。

――理想とするピッチャーはいますか。
又吉: ヤクルトの館山(昌平)さんです。サイドから力強いボールを放るだけでなく、投げるタイミングを変えたり、変化球をうまく使ったり、1球1球、意図を持ってピッチングをしているように感じます。テレビを通じて見ていても驚かされることが多い。対戦するバッターにしてみれば本当に厄介だろうなと感じます。

――実際に館山さんのピッチングを生で見たことは?
又吉: 実は実家がヤクルトの浦添キャンプ地から歩いて5分くらいの距離なんです。だから、ブルペンでのピッチングを観に行ったことがあります。その時は林昌勇(現カブス)がサイドから、ものすごいボールを投げていましたが、すぐに「僕にはマネできないな」と感じました。館山さんのフォームは林昌勇みたいな力強さはなくても、先発で10勝以上できる。間近で見て、こういうピッチャーになりたいなと思いましたね。

――館山さんと同じ舞台に立てるかどうかは、これからのピッチングにかかっています。
又吉: アイランドリーグに来た時から、この1年でNPBに行くつもりでやってきました。今年で僕は23歳。自分としては25歳くらいまでが教えられたことを吸収して一番成長できる時期だととらえているので、早くNPBに行かないとレベルアップのチャンスを逃してしまう。夏場でも調子を落とさず、しっかり結果を残して、スカウトの方から「獲る価値がある」と思っていただけるように頑張ります。

――NPBに行くことも大切ですが、そこで活躍することがもっと大切です。ゆくゆくは、どんな選手になりたいですか。
又吉: サイドで投げるピッチャーはNPBでもリリーフを任されることが多いと思います。でも僕は館山さんのように、先発で2ケタ以上勝てるピッチャーになりたいです。そして「この試合はオマエに任せた」と信頼される存在を目指します。最終的には周りから「又吉みたいになりたい」と目標にされる選手になりたいですね。

(聞き手:石田洋之)