佐々木芽生 第2回 「コジロウの死後、わたしを一人にさせられないと真剣に悩んでいた猫のムサシ」

島地 勝彦 プロフィール

佐々木 立木さんは猫派ですか、イヌ派ですか?

シマジ タッチャンは生粋のイヌ派なんですよ。それだけがタッチャンの欠点ですね。

立木 おいおい、勘弁してくれ。ここにいるとイヌ派は悪い人間にされちゃうのかよ。

セオ シマジさんのイヌ嫌いは有名ですよね。

シマジ イヌとは相性が悪いんだ。だから小さなイヌでも怖い。

 大学の試験の日に寝坊して慌てて、高円寺のアパートから駅まで急いでいたら、途中にイヌがいたんですよ。仕方がないから遠回りしようと進路を変えたら、そこにもイヌがいましてね。そのころは東京でも放し飼いが多かったんです。結局、試験に遅れて落第してしまい、留年して大学を5年かかって卒業しました。青学で落第するのはかなり難しいんですよ。

佐々木 わたしも青山学院大学出身です。

シマジ それは失礼しました。

セオ しかし、イヌが原因で落第した人はいないでしょうね。

シマジ 猫は貴族っぽいけど、イヌはサラリーマンっぽいよね。

立木 おいおい、イヌだって貴族っぽいんだぜ。ドーベルマンなんて精悍だよ。

 あっ、そうだ、ドーベルマンで思い出した。若いころシマジとハリウッドのある女優を取材したことがあったんだけど、その女優が部屋のなかでドーベルマンを4匹も飼っていたんだよな。

 インタビューしていたら、隣の部屋でゴトゴト音がする。「あれは何の音?」とおれが女優に訊くと、「あれはわたしの恋人であり用心棒なのよ」と答えた。「見たい!」と言ったら、メイドがドアを開けた瞬間、シマジとおれの頭の上を軽々飛び越えて彼女の周りに一瞬のうちに集まったんだ。そのあとのことはシマジが説明したほうがいいんじゃないのか。