快調ロッテ引っ張る4番が胸中吐露 今江敏晃 「挫折からの生還」

フライデー プロフィール

エリートは一皮剥けた

4番に座った5月15日から、9戦で5本塁打を放った。伊東監督も「背中越しの雰囲気が出てきた」と活躍を絶賛する

 苦境を抜け出す転機となったのが、指導者の一言だ。今江が「試合中でもあれだけ頻繁に声をかけてくれる人は初めて」と評する、監督の伊東勤(50)である。

 代打を送られた屈辱の西武戦の翌日、4月26日のこと。黙々と特打をする今江に、伊東監督が話しかけてきたという。

「おいゴリ(今江の愛称)、最近ボールを見過ぎてないか」

「そうかもしれません」

「お前の持ち味はなんだと思う?」

「…………」

「お前は3球目までに勝負する打者だろ。1球目から打っていくのがゴリのスタイルだ。結果を恐れずに思い切ってやれ」

 今江は「この監督の言葉で気持ちがすっと楽になった」と振り返る。

「『失敗しても積極的にいけばええんや』とね。それまでは結果が出ないために萎縮し、初球からバットを振れなかった。追い込まれて難しい球に手を出し、凡打を繰り返していたんです」

 翌日のソフトバンク戦、3回1死満塁の場面で今江はファーストストライクから積極的に振りにいく。ファウルで粘り6球目のスライダーを捉えると、打球は左翼線へ。走者一掃の二塁打となり、今江は「久しぶりに自然と笑顔が出た」と塁上で二度、大きく拳を振り上げた。

 気持ちが前向きになりチームメイトと話すようになると、こんな幸運にも恵まれる。5月9日の西武戦で、今シーズン初めて一軍に上がった捕手の江村直也が2本のヒットを打つ活躍をした。今江は翌日、「お前、よく打つな。バットを1本くれよ」と話しかけたという。

「江村のバットは僕のものより1cmほど短く、芯がやや内側にありました。試しに打ってみると、コンパクトに振れてボールをミートしやすい。バットにも試行錯誤していましたが、偶然にも自分にピッタリなものを見つけられたんです」

 今江は、それから江村のバットを使用。5月の月間打率は3割4分1厘に達し完全に復調すると、同月15日からは4番を任されるようになる。