特別読み物 松山英樹と石川遼二人の運命を分けたものは何か
残酷な、あまりに残酷な…新星に追い落とされたスーパーエリートもうダメなのか、
それとも…

週刊現代 プロフィール

「松山の重さに対し、遼のスイングにはキレがある。インパクト音は松山の『ドーン』に対して、遼は『シューン』。各々に個性がありますが、バランスは遼のほうが上。遼は日本人の中でミート率とスイングバランスが抜群。これは簡単に身につくものではない」

 しかし、いくらスイングが美しくても今回のように距離感が摑めなければ、勝負にはならない。思い返せば、石川は常に進化した姿を見せようと道具やスイングで試行錯誤してきた。一方、松山は己がスタイルを押し通してきた。各道具メーカーが殺到するが、「このままでいい」と周囲に明かし、1万円の安価なクラブを愛用するほどだ。

 そして、初出場日本人最高位の10位となった全米オープンで、松山は改めて自分の目標を確認し、モチベーションも極めて高い。大会第3ラウンド、打ちおろしのティーグラウンドから前の組でプレーする元世界ランク1位のルーク・ドナルド、マスターズを3度制したフィル・ミケルソンの姿が松山の目に入った。

「ルークにしてもミケルソンにしても、パッティングの距離感がすごい。自分みたいに2~3mオーバーしたり、ショートしたりがなかった。あそこに立ちたいとは、そりゃ思います。思っていなかったらここに来ていないですよ」

 未来に向けて最短距離を走り始めた松山。足りないのは経験くらいだろう。

 ゴルフは一寸先は闇のスポーツ。それを象徴するエピソードをあるゴルフジャーナリストが明かす。

「昔、川岸良兼プロを取材したとき、『米国ツアーを回っていたとき、突然、今までどうやってバックスイングをしていたのかわからなくなった』というんです。そこからダウンスイングができなくなったとね」

 川岸は松山と同じ身長180cmで将来を嘱望された逸材だった。しかし、'89年のデビュー後、1年で3勝を挙げるもその後、期待以上の結果を残せなかった。

 いまの石川は当時の川岸の焦りが理解できるに違いない。今後、本格的に米ツアーに参戦するなかで、松山も石川と同じように壁にぶつかるかもしれないし、彼ならそれすら易々と乗り越えていくかもしれない。

 願わくば、再び這い上がった石川と松山が世界の舞台で覇を競う、そんな胸躍る未来を若い二人には期待したい。

「週刊現代」2013年7月6日号より