医者に聞いても分からない「治るがん」と「治らないがん」「死ぬがん」と「死なないがん」ここが分かれ目です

週刊現代 プロフィール

 手術をして完治するのは、のんびり型がほとんどなのです。これは極端な例ですが、70歳の女性で乳がんが見つかった方がいました。外科医からは手術を勧められたのですが、『もうこの年だし、手術はしません』と決断された。その後、少しずつがんは大きくなっていったのですが、結局、何も治療はせずに92歳まで生きて、彼女は老衰で亡くなったのです」

患者には説明しない

 最初から治るか治らないか決まっているのであれば説明してほしいし、逆に手術で悪化してしまうのであれば無駄な治療はしてほしくない。でも、医者からはそんな話、聞いたこともない—そう憤る人も多いだろう。しかし、残念ながらいまのところ、がんの性質を最初に調べる術がなく、医者にもそれが「のんびり型」か「せっかち型」かすぐには分からないのだという。

「のんびり型かせっかち型かを見分けるには、数ヵ月から何年か、経過を見るしかないのです。放っておいて、あまり大きくならず転移もしなければのんびり型で、浸潤や転移を起こせばせっかち型ということ。結果論で判断するしかないのです。

 さらにやっかいなことに、最初はのんびり型でも、5~20年経過したあとに何らかの影響で急にせっかち型に変質することもある。急いで手術する必要のないがんも切除していると思いますが、医者も経過してみないと分からないから、患者さんには説明できないのです」(小野寺医師)

 患者にとっても、がんが身体の中にあると分かっている状態で、「のんびり型かもしれないからしばらく放置しよう」と思うか、転移を恐れてすぐに手術を希望するかは分かれるところだろう。

 一般にがんの進行度は、がんの大きさや転移の状態をもとにした「ステージ」で表される。Ⅰ~Ⅳの大きく4段階あり、Ąは早期、Ľに近づくほど進行がんとなる。たとえばステージⅠの胃がんの場合、5年生存率は約99%。がんの場合、例外はあるが治療後5年再発しなければ治ったとみなされることが多いので、ほとんどの人が助かることになる。

数字を信じてはいけない

 この「ステージ」によって「治るがん、治らないがん」「死ぬがん、死なないがん」がある程度見極められるようにも思うが、ことはそう単純でもない。

 5年生存率というのは、同じ病状の患者が発症5年後にどの程度生存しているかの統計を取って示したもので、患者一人ひとりを見た場合、自分が99%の確率で治るというものではないからだ。

「医者は、5年生存率の数字を出して患者さんに説明することが多いですが、実際はその医者の経験によっても予後は大きく異なってきます。一般的に言われている数値だけで決められるものではない。医者の経験によって、見立ても変わってくるのです」