テレビドラマを楽しもう『ガリレオ』『ラスト・シンデレラ』もいいけど NHK『あまちやん』は歴史に残る傑作です 特別座談会 泉麻人×上滝徹也×中森明夫

週刊現代 プロフィール

ポップな方言で行こう

上滝 私は安藤玉恵のファンなんですよ。観光協会の職員役をやっている。一見地味な役柄なんですが……。

中森 小池徹平演じるヒロシ(観光協会職員)と、勢いで深い仲になってしまう。

上滝 ドラマでは『湯けむりスナイパー』や『深夜食堂』にも出ているんですが、なぜかストリッパーや風俗嬢の役が多いんですよね。

泉 なんだか不思議とエロい人ですね。生々しいというか。

中森 アイドルグループGMT47のプロデューサー役で出てきた古田新太もすごい。格好を似せるだけであんなに秋元康に似ると思わなかった(笑)。

上滝 でも「じぇじぇ」にしろ、全体に方言がすごくポップですよね。普通、方言を使ってドラマをつくると、土着的なムードが漂って重くなるものです。

泉 たしかに『おしん』のような重い方言とはまったく逆のベクトルですね。田舎のトレンドというか、いまの空気をうまくすくい取って、都会的なものと絶妙に混ぜている。よく地方の道の駅に行くと、洒落たことをやろうとしてチグハグになっちゃってることがあるじゃないですか。あの面白さをうまく表現している。脚本のクドカン(宮藤官九郎)は、もともと時代のエッセンスを汲み取るのが抜群にうまかった。

中森 クドカンはゼロ年代最大の脚本家ですが、メジャーというよりは、サブカル、マイナーな存在だった。でも今作で完全に国民的作家になった。

上滝 彼のうまいところは、サブカル的な小ネタをたくさん仕込んでいる一方で、「家族はすばらしい」という大衆的なホームドラマの基本をしっかり押さえているところですね。クドカンのドラマはどれも、登場人物が家族を疑わないんです。その上で、今回は夏(宮本信子)と春子(小泉今日子)、春子とアキの「母子の葛藤」にも触れている。

泉 クドカンの真骨頂は、スナックのカウンターで行われる軽妙なやり取りですよね。内容のない雑談を延々回していく彼のリズムは、15分の帯という朝ドラの枠に合っている。1時間ドラマだとたまにだれることもありましたが、それもない。

中森 僕のようなアイドル好き、サブカル好きの要求を満たしつつ、一方で熟年向けのローカルコメディでメイン視聴者層も満足させる。青春アイドルドラマと熟年ローカルコメディの2つの物語が並走している。毎朝2000万人相手にこの両極を綱渡りしているクドカンには頭が上がらないですよ。

松田聖子も出演するかも

上滝 雑誌で知ったんですが、クドカンは大学時代(日本大学藝術学部)、私の授業を受けていたようなんです。