番長ジョッキー・藤田伸二「間違いだらけの日本競馬界」

JRA批判の近著は17万部超のベストセラー
フライデー プロフィール

自分自身も以前、エージェントを利用していた時期はあったけど、その方が一昨年に亡くなってからは、おもに旧知の調教師や調教助手などを通じて乗る馬をまわしてもらっています。ただ、それで乗鞍が減少したのは事実。

最近、武豊さんの勝ち星が減ったと言われているけど、それもまさにエージェント制度の影響ですよ。それは腕が落ちたからではなく、豊さんのエージェントより力があるエージェントが他の騎手と契約しているからでしょう」

その武は、2013年5月26日、日本ダービーでキズナに騎乗し、自身8年ぶりとなる勝利を飾った。メイケイペガスターに騎乗した藤田は11着に終わったが、レース後、武に祝福の言葉をかけたという。

「もちろん、参戦する以上はオレも勝ちたかった。でも、勝ったのがダービージョッキーにふさわしい豊さんで、心から嬉しかったですね。ましてや、外国人騎手じゃなくて良かったなって」

藤田がこう言うのには深いワケがある。近年、日本競馬界では外国人騎手の台頭が目覚ましい。それまでコツコツと調教し騎乗してきた日本人騎手から、来日した海外のトップジョッキーに乗り替わるケースが増えている。

現在、外国人騎手は3ヵ月間の短期免許での騎乗がルールとなっているが、近い将来、通年で騎乗できる道が整備される見込みだというのだ。

「豊さんはじめ、一流のベテラン騎手は、馬の状態や次のレースを考えながら乗っている。でも、一部の大手クラブの馬主やエージェントが、目先の勝利だけを考えて外国人騎手に乗り替えさせれば、馬の調子にも関わるし、日本人騎手はお払い箱になってしまう。そうやって日本人騎手が減れば、ますます外国人騎手の騎乗数が増える。

だったら、もう競馬学校なんて必要ない。安易に外国人騎手に乗り替えられるようじゃ、若い騎手が夢を見られなくなってしまうし、若手を一から育てようという調教師もいなくなる。

そんな現状を見ると、近年、JRAが叫んでいる〝国際化〟って、結局は外国人騎手を山ほど受け入れることなんじゃないかと思ってしまうんです」

レース未経験の裁決委員

外国人騎手の登録について何か打開策はないのかと尋ねると、藤田からは次のような答えが返ってきた。

「現状では難しいでしょうね。だって、大手クラブが外国人騎手の身元引受人になっているケースが多いから。

今の競馬界で、大手クラブや一部の有力馬主の影響力は絶大なんです。なかには乗り替わりなどに注文をつける馬主もいる。もちろん、キズナの生産牧場社長の前田幸治さんのように、騎手の指名は調教師に任せて、一切口を出さない人もいますよ。オレが前田さんの所有馬に乗せてもらった時は、騎乗方法も任せてくれました。

オレは大手クラブや馬主を批判しているワケじゃないし、外国人騎手が嫌いなワケでもない。外国人騎手だって、賞金など魅力的な面があるから来日するんでしょうしね。あくまでも問題なのは、この現状をJRAがどう考えているのかということなんです。