現代ビジネス: こんばんは。現代ビジネスがお届けする政策講談第4回目です。本日は今年の7月に行われる参議院選挙から解禁になるネット選挙を取り上げます。
Twitterやメールなどを使う場合、何がOKで何がNGなのかといった技術的な話もしてもらいますが、そもそもどうしてネット選挙を解禁しなくてはいけなくなったのかを考えると、根本的には投票率を上げて政治をもっと良くしていこうということだと思います。従いまして、ネット選挙解禁で本当に政治は良くなるのかということまで話していただければと思っております。
ゲストは、ネット選挙を取り上げる以上はこの方を絶対に外せないということで、ジャーナリストの津田大介さんに来ていただきました。また、自民党からは福田峰之先生、民主党から奥野総一郎先生。お二人とも党でネット選挙の法案化に深く関わって来た方です。司会はいつもの通り石川和男さんです。それでは、よろしくお願いします。
石川: 今日のテーマは「ネット選挙」。公職選挙法の改正により、今度の参院選から「ネット選挙」解禁になりました。しかし、ネット選挙とは何かについては、今ひとつ理解が進んでいない。ひょっとするとネット投票もできるのではないかと勘違いしている方もいるんじゃないでしょうか。ネット投票はできないんです。
本日お越しの政治家お二方は、今国会でネット選挙解禁に向けて党内外を調整し、最後に妥結させた、まさに中心人物です。また、津田大介さんはこの問題に深く精通している専門家でもあります。従いまして今夜は、「ネット選挙解禁法とは何ですか」ということを中心に、さらにこれにより政治がどういうふうに面白くなっていくのか、あるいはどういうところがマズいという局面がありうるのかということを、考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
まず福田さん、これは議員立法なんですよね? 法律案や予算案は霞が関の官僚が案文をつくり出して、それを国会の了承を得て可決成立というプロセスが日本では多いんですが、この公職選挙法についてはまさに議員の根本に関わる部分ですから役人が決めるべきことではない、やはり政治主導でやるべきだという話だと思うんですが、自民党と民主党で当初は対立していたんですよね?
福田: 対立ではないと思いますよ。基本的には全11会派が集まって議論した中でも、求めいている姿は同じだと僕は思うんですよね。ただ、そこに至るプロセスが若干自民党と民主党で違っていたと思います。最後はぐぐっと近づいたということですし、それほど大きな違いはなかった。そうでしょ、奥野さん?
奥野: とにかく前に進めようという思いは一緒でありまして、違いがあったとすれば、進め方をどうするかという違いということですね。
石川: 津田さんは随分以前から、政治に対しインターネットを普及させましょうということをいろいろなところで発言もしているし、発信もしていると思いますが、ようやく今回改正されましたね。
津田: まあ遅すぎるという感じはしますね。解禁されたこと自体は良かったと思います。
石川: ずっと前から叫んでおられたけど、今回の法案成立をどんなふうに評価されていますか?
津田: メールが使えるかどうかで与野党が割れてはいましたが、基本的にはかなりいろいろなものが解禁されて、原則自由になったことは良かったです。Twitterもそうだし、動画が解禁されたことも含めて。
2010年に当時の与党と野党、つまり民主党と自民党でいったん合意をしたんですが、でもそのときにはネット解禁といってもかなり中途半端な合意でした。ブログはOKだけどTwitterはダメといったように。それが国会で通って法律になるのかなと思ったら、鳩山(由紀夫)政権が辞任してネット選挙解禁法案が全部吹っ飛んでしまった。
そういう経緯があったので、中途半端なネット選挙解禁があの時に通るよりは、今回フルスペックに近い形で解禁されたのは結果的には良かったなと思います。
石川: さて、それでは中身の問題に入っていきましょう。国民の民さんは新聞やテレビで「ネット選挙解禁」ということをそれぞれご存知だとは思いますが、細かい部分まで本当に知っている方は少ないと思います。実は私自身も、細部のことはあんまりよくわかっていません。そこで今日はこういうフリップを準備いたしました。
今まではできなかったけど、「ウェブ、SNS、メール、有料広告」が今回からできるようになりました。福田さん、ウェブというのはホームページのこと? これは政党であれ、政治家であれ、福田候補であれ、奥野候補であれ、私はこんなことをやりますという政治信条を発信するのもOKということですか?
福田: 全員OKね。
石川: 有権者の◯ってこれはなんですか?
福田: 個人でホームページを持っている人はそれほど多くないと思うんですが、たとえば企業や団体はホームページを持っているじゃないですか。講談社だってホームページがありますね。そうすると講談社が「福田は政治家として相応しい。いい奴じゃねえか」と思ったら、講談社のホームページのトップページに「講談社は福田峰之を支援します」というようなことを書ける。
石川: できちゃうの?
福田: できちゃんですよ。ですから有権者というのは、個人はもちろん、企業や団体も含めてなので、そちら側の効用のほうが大きいと思いますね。
石川: これは奥野さん、民主党もこれはOKだったんですか?
奥野: 同じです。