内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力
スーザン・ケイン(著),古草 秀子(翻訳)

〜はじめに――内向型と外向型 対照的な二つの性格について より抜粋

重力理論(サー・アイザック・ニュートン)
相対性理論(アルベルト・アインシュタイン)
詩「再臨」(W・B・イェイツ)
ショパンのノクターン(フレデリック・ショパン)
『失われた時を求めて』(マルセル・プルースト)
ピーター・パン(J・M・バリー)
『一九八四年』と『動物農場』(ジョージ・オーウェル)
『キャット・イン・ザ・ハット』(ドクター・スースことシオドア・ガイゼル)
チャーリー・ブラウン(チャールズ・シュルツ)
『シンドラーのリスト』『E.T.』『未知との遭遇』(スティーブン・スピルバーグ)
グーグル(ラリー・ペイジ)
ハリー・ポッター(J・K・ローリング)

 科学ジャーナリストのウィニフレッド・ギャラガーが書いているように、「刺激を受けたときに急いで反応するのではなく立ち止まって考えようとする性質がすばらしいのは、それが古来ずっと知的・芸術的偉業と結びついてきたからである。アインシュタインの相対性理論もミルトンの『失楽園』も、パーティ好きな人間による産物ではない」のだ。金融、政治、各種の活動など、内向型の影が比較的薄い領域でも、大躍進の一部は内向型の偉業だ。本書では、エレノア・ルーズベルトやアル・ゴア、ウォーレン・バフェット、ガンジー、そして、もちろんローザ・パークスといった人々が、自らの【内向性にもかかわらず】ではなく、【内向性ゆえに】、いかにして偉業をなし遂げたかを検証する。

『内向型人間の時代〜社会を変える静かな人の力』
著者:スーザン・ケイン
翻訳:古草 秀子

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 ところが、本書でも見ていくように、現代社会では、もっとも重要な施設の多くは、集団での活動と高レベルの刺激を好む人々向けに設計されている。たとえば学校の机はグループ学習がしやすいように小集団に分けて並べられることが多くなっており、これは調査によれば、教師の大半が外向的な生徒こそ理想的だと考えているからだ。テレビドラマの主人公は『ゆかいなブレディ家』のシンディ・ブレディや『ビーヴァーちゃん』のヴァー・クリーヴァーのような「ありふれた隣の家の子」ではなく、『シークレットアイドル・ハンナ・モンタナ』のハンナや『アイ・カーリー』のカーリー・シェイのように、ロックスターやインターネット番組の主役であり、公共放送サービスPBSの幼児向け科学番組『シド・ザ・サイエンス・キッド』でさえも、幼稚園の子供たちがみんなでダンスするところから一日がはじまる。

 大人になればなったで、私たちの多くはチームで動くことを推奨する組織に入り、壁のないオープンなオフィスで、「対人スキル」をなによりも重要視する上司のもとで働く。キャリアを高めるためには、臆面もなく自分を売り込まなければならない。研究のために資金提供を受ける科学者たちは、自信たっぷりというか、おそらくは自信過剰な個性の持ち主であることが多い。現代アートの美術館に作品を飾られるアーティストたちは、画廊のオープニングに奇抜な姿で現れる。作家はかつて人間嫌いな種族として認められていたが、現在ではトークショーに出演するのが当然とみなされている(もし、私が偽外向型で本の販売促進をちゃんとこなせると編集者が信じなかったなら、この本は存在しなかったはずだ)。