二宮清純レポート 横浜DeNA・内野手中村紀洋
嫌われても、笑われても自分の道を歩いてきた

週刊現代 プロフィール

「ロッテ時代、相手チームだったにもかかわらずアドバイスをいただいたことがあるんです。噦球種がわかるよ器って。身振り手振りをまじえて噦こうなったらスプリットやね器って。全て当たっていました。

 それまでノリさんというと豪快なイメージがありましたが、ピッチャーを見る繊細な視線には驚かされました」

 続いて元日本ハムのエース岩本勉。

「一番、気を付けたのが、いわゆる半速球。高めに抜けたフォークやチェンジアップが危ない。彼はそれを読んでいるのか、タイミングを崩されてもためて打つことができるんです。豪快さと器用さを持ち合わせたバッターです」

 工藤公康、伊良部秀輝、松坂大輔、ダルビッシュ有ら球界を代表するピッチャーたちと名勝負を演じてきた。その中で「モノが違う」と度胆を抜かれたのは、後にも先にもただひとり。'11年7月に自ら命を絶った伊良部である。

「伊良部さんのボールは回転数が少なくてホップしない。152kmなら152kmのボールが、そのままズドンとくるだけ。重い球質だから芯で打っても飛ばない。もう、どうしようもなかった。大輔やダルビッシュも良かったけど、やはり、あの人のストレートだけは別格でしたね」

 現役生活22年。名うてのピッチャーが投じる剛球、速球、魔球と長きに亘って格闘し続けてきた男が、「どうしても自らの目で見極めたい」と対戦を心待ちにしているルーキーがいる。

 160km右腕の大谷翔平(北海道日本ハム)だ。18歳の外連味なき躍動を見るたびに、バットマンの本能がうずく。

「打つ打たんは別として、一回見てみたいんです。いったい、どんなボールを投げるんやろうかって……」

 若武者の真っ向からの挑戦を、もちろん古武士は渾身のフルスイングで迎え撃つつもりだ。新世代と旧世代の激突で時代の歯車がギシギシと音を立てる瞬間を見てみたい。

「週刊現代」2013年6月15日号より