漫画『賭博黙示録 カイジ』とは?
自堕落な日々を過ごす主人公、伊藤開司(いとう・かいじ)。そのカイジが多額の借金を抱えたことをきっかけに「帝愛グループ」をはじめとする黒幕との戦いに挑んでいく大人気漫画。命がけのギャンブルを通じて、勝負師としての才能を発揮するカイジだが、その運命は果たして・・・。
(作者:福本伸行 講談社『週刊ヤングマガジン』で1996年11月号~1999年36号まで連載された作品)
【第8回】はこちらをご覧ください。
最近、「アベノミクス」が踊り場を迎えています。日経平均は16,000円弱をつけた後、調整局面に入り、6月4日現在で13,000円台まで堕ちています。また、将来の見通しに不安を感じる投資家の意識が表面化し、金利が上昇しています。
もともとアベノミクスでは、「大胆な金融緩和」をしているはずです。これは、市場に大量にマネーを供給するということで、金利を引き下げる効果もあるはず。それなのに金利は上昇しています。
なぜでしょうか?
「金利は、資金の需給バランスで決まる」
もちろん、そういう面もあります。しかし現在の金利上昇は、この理屈では説明できません。
「利子率が下がるのは、お金を借りたい人が少ないからだ」
それも違います。
「金利はお金のレンタル料」と考えてみると、そういう発想になってしまいますが、それは正しくありません。まったく実態が理解できなくなってしまいます。
第3回で、「利子はお金のレンタル料ではない」という話をしました。今お金を借りて、将来「レンタル料」と合わせて返済するのではない、将来手にできるお金を、いま他人から融通してもらったので、その分の手数料を払っているのだ、と説明しましたね。
今回はまた別の見方で「金利」を捉えてみます。「金利」と「国債価格(債権価格)」の関係です。
なぜ国債が暴落してしまうか、そもそもその可能性がどれくらいあるかについてはまた別の機会に解説するとして、今回は、国債の価格と利子率の関係についてお伝えします。
結論から言うと、国債の価格が下がっているので、金利が上がっているのです。
どういうことでしょうか?
この理屈を理解するためには、国債(債権)の価格と、利子率の関係を理解しなければなりません。
国債とは、国の借金のことです。国が国民や銀行などからお金を借りているわけです。「100万円の国債を発行する」ということは、「国が100万円借金する」のと同じことです。
ということは、「100万円の国債を買う」とは、「100万円を国に貸す」ということです。期日になると借金が返済されるのと同じで、「100万円の国債」を期日まで持っていれば、100万円を国から受けとることができます。つまり、100万円の国債は、将来100万円になるのです。
企業の株は、将来いくらの価値になるかわかりませんが、国債は、期日になったらその額面の金額が支払われるわけです。「将来の価格」が決まっているのです。
ですが、一方で、「100万円の国債(将来、国から100万円受けとれる権利)」は、毎日売買され、毎日価格が変わります。いくらで取引されているかは、その日によって違うわけです。
この図を見てください。
この「現在の価格」と「将来の価格」の差が利回りを表しています。
1年後に100万円受けとれる国債を今年75万円で買ったら、1年間で25万円儲かることになります。元手が75万円で、儲けが25万円なので、利回りは33.3%です。
一方、1年後に100万円受けとれる国債を、今年95万円で買ったら、1年間で5万円儲かることになります。元手が95万円、儲けが5万円なので、利回りは5.26%です。
つまり、国債の利回りは、現在の国債の価格がいくらかによって変わるのです。だから、今日、国債の価格が下がると? 国債の利回りが上がることになりますね。