シマジ でもお客さまが見る風景と、カウンターの内側から見る風景は、まったくちがうんだよ。
セオ シマジさんの得意の格言「バーのカウンターは人生の勉強机である」から考えると、先生はシマジさんで客は生徒になるんですかね。
シマジ その通りだね。だから生徒たちは授業料として飲み代を払うんだ。
堀 これは美味い!
セオ ネスプレッソですか、サロン・ド・シマジですか?
堀 もちろん両方です。
立木 うまい! 両方に気を使うところが堀さんの素晴らしいところだね。
堀 実際この2つの飲み物は相性がいい。シマジさんとぼくみたい。これで3万円は安すぎますね。6,7万円でも売れたでしょうに。
シマジ はじめて買ってくださる人のために3万円は譲れなかったんだ。ここで大盤振る舞いしておけば、必ずブーメランのようにして、もっと大きくなって返ってくる。それが人生ってものですよ。
立木 損をしたのはお前じゃなくて肥土伊知郎さんじゃないのか。
シマジ いやいや、伊知郎にもそのうち大きな僥倖となって返ってきますよ。
セオ たしかに美味いですね。割り水がいいんじゃないですか。
堀 これはスペイサイドの水ですよね。贅沢だなあ。
シマジ 氷も同じスペイサイド・ウオーターで作っているんだよ。
堀 懲りますね。そこらへんがシマジさんらしいところですね。
立木 堀さん、褒めすぎじゃないの。
堀 立木さん、じつはシマジさんのおかげでわたしは東京に家を建てられたんです。