足許で、世界経済の回復期待が後退している。ユーロ圏経済は、依然として出口の見えない低迷を続けている。中国経済も、一時期の活気が見られなくなっており減速から抜け出せない。
今まで、米国が世界経済を牽引することが期待されていたのだが、FRB(連邦準備理事会)が金融緩和策の出口を模索し始めて、やや足取りが鈍化することが懸念される。
そうした世界経済の状況を反映して、世界的に株価が調整局面入りしている。最近まで堅調な株式相場を支えてきた潤沢な資金供給に大きな変化が出ると、もう一段の株価の調整が必要になるかもしれない。そうした懸念が残っている間、株価の本格的な出直りは難しいだろう。
中国やユーロ圏諸国の景気回復の減速によって、最も大きな影響を受けている市場の一つに国際商品市況がある。元々、中国等の需要国の景気回復が順調に進むことを前提に、商品市況は堅調な展開を続けてきた。
ところが、中国や欧州圏の実需が予想以上に低迷している。そのため、足元の商品市況は軟調な展開になっており、商品市況に多額の投資資金を投下した大手へッジファンドなどは、多額の損失を被ったと言われている。
過去数年間、商品市況が堅調だったこともあり、ヘッジファンドなどの投機筋は、まだかなりの持ち高を抱えていると見られ、そうしたポジションを整理するまでに多くの時間が必要になるだろう。商品市況の回復には時間がかかるだろう。