〈対談〉 田村耕太郎 × 村上憲郎
グローバルの「中枢」に行くために、日本人には何が必要なのか

田村: もちろん、だからと言って、日本の学生がバカでアメリカの学生が賢いという話ではありません。

 アメリカの学生がそこまでハードに勉強する理由は、大きく二つあります。一つは、企業が大学での成績、すなわちGPAを厳しくチェックすること。もう一つは、アメリカで成功するには大学院を出ることが有力な武器になりますが、大学院に入るにも、やはり学部での良い成績が必要だということです。

 一方、日本の企業は学生の成績をあまり見ていません。そもそも、大学3年生から就活をさせていれば、勉強する暇などなくなります。経団連のお偉方は「日本の学生は勉強しない」などと"上から目線"で批判しますが、学生に勉強させていないのはあの人たちですよ(笑)。

 いずれにせよ、日本の学生とアメリカの学生の違いは、勉強量と、勉強の幅の広さだと思いますが、村上さんはどうお考えでしょうか。ハーバードで学んでいるお嬢さんをご覧になって、何か感じたことはありますか?

村上: 娘をアメリカに連れていったのは、日本でいうと中学1年生の6月です。アルファベットが何とか読めるという段階で、普通のパブリックスクールに放り込みました。最初は、学校で自分が何の授業を受けているのかすら、皆目見当がつかなかったということです(笑)。

 私も、娘とクラスメートのチリ人の子の家庭教師みたいなことをやったりして、いろいろ教えましたね。幸いにして数年後、2人ともハーバードに入学しました。

 ハーバードには、いわゆる専門課程がありません。学長さんが入学式で「リベラルアーツをエンジョイしなさい」と大きな声で話したことが印象に残っています。

 とはいえ皆、将来はこうしたいという思いがありますから、娘はメディカルスクールに進むためのサブジェクト(科目)を履修し、チリ人の友達はロースクールに進むのにふさわしいサブジェクトを取っていました。

 学生の勉強量は、本当に聞きしに勝るもので、先ほど田村さんも言われたように、夜中まで図書館で必死に勉強しなければならない。ハーバードといえども、女子学生が夜中に1人で歩いているとレイプされる危険があるので、キャンパスポリスを呼び、エスコートしてもらって寮に戻るそうです。昼間は昼間で、自分の体重よりも重いんじゃないかというくらいの本をリュックサックに詰め込んで、教室から教室を渡り歩く。

 何が学生をそこまで猛勉強に駆り立てるかというと、さっきのお話に出てきた成績評価値、GPAです。グーグルの採用でいうと、たくさんの人からアプリケーション(応募)がありますが、まず大学名で選別して、ほとんどのレジュメ(履歴書)は中身すら見られません。

田村: 特定の数校を出ていなければ、グーグルなどグローバル企業では、最初から相手にもされない。

村上: アメリカは、日本よりはるかに徹底した学歴社会なのです。応募者を大学名で選別した後は、GPAをチェックして、3.5以下であればやはりレジュメは見ません。