ブラック企業問題が話題になっている。日本人は働きすぎだ、と感じることはないだろうか? このまま、いつまでこんなに働かなければならないのか? と。
先日も、日本の過剰労働による過労死・過労自殺の蔓延について、国連から異例の「対応」を迫る勧告が発せられた。実際、日本の労働には「無理」があるのだ。
私は昨年、文春新書から『ブラック企業』を上梓し、ベストセラーとなった。それ以来、メディアは連日のようにこの問題を報じ、ついには各政党がこぞって対策を打ち出すに至っている。
そして、今回の参議院でも焦点の一つになっているのである。各政党はいう。
「相談窓口を作ります」
「労働基準法の遵守を徹底させます」
「企業名を公表します」
だが、こんなことで、果たして本当にブラック企業はなくせるのか? 「法律の遵守を」といいながら、日本企業は昔から法律を無視してきた。相談窓口と言いながら、いままでも行政は機能してこなかった。
はっきりいって、ブラック企業をなくすことも、違法労働をなくすことも、相当難しい。だが、なぜ難しいのか、どうすれば日本の労働を変えることができるのか。
論者たちはいう。
「政策が悪い」
「政治家がわるい」
「経営をうまくすればいい」
「働く側に工夫が足りない」
これらもまた、どれも嘘くさいし中途半端だ。当たり障りのない「答え」をいって、お茶を濁しているだけだとさえ、いえる。
本書は嘘も、うわべだけの議論もない。
私はこれまで1500件を超える労働相談にかかわり、学術的にも労働法、労働社会学、労働経済学などを研究してきた。
この本では、真実だけを、徹底的に考え抜いた。どうやったら日本の「労働」を変えられるのか、ぜひ、一緒に考えてみてほしい。