話題の本の著者に直撃!佐々木圭一
「ノー」が「イエス」になるコトバの〝ウラ技〟があるんです

フライデー

—佐々木さんは、上智大学大学院理工学研究科出身で、「社会に出た頃は口下手だった」と告白されていますね。口下手だった佐々木さんが、どうやって「伝える力」を身につけていったのでしょうか。

 僕は大学院まではバリバリの理系で、ロボットの研究をしていました。それが突然、「ロボットよりも人間相手のコミュニケーションをしてみたい」と思って、広告会社に就職したんです。ロボットを研究していた男がコピーライターになったものだから、まわりは驚いていましたよね。

 でも、働き始めた頃は自分の考えたコピーがまったく採用されなかった。合わない仕事についたストレスから、プリンを食べすぎて15㎏も太りました。

 全然仕事が回ってこないので、時間だけはあったんです。なので、映画の名ゼリフ集や詩集なんかを乱読していました。すると、あるとき「このコトバとこのコトバ、なんだか似てるぞ?」ということに気づきはじめた。まさに運命の分岐点でしたね。

作詞にも使う「伝え方メソッド」

心を落ち着かせるため座禅を組むことも

 たとえば、ブルース・リーの「考えるな、感じろ」とか、『踊る大捜査線』の「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!!」とか、どちらも心に残るコトバですよね。これは、正反対の意味の単語を重ねてギャップを作り出すという「手法」が使われている、そういうことがわかってきた。

 他にも「そうだ 京都、行こう。」みたいに文頭で注意を引く表現や、「人民の、人民による、人民のための政治」みたいに同じ単語を繰り返す表現など、心に残るコトバには一定の法則があるのではと感じました。こうした〝法則〟に気づいてからは、自分もコピーを書けるようになった。体調が悪くても寝てなくても、安定して作れるようになったんですよ。

 本書には、そのノウハウを惜しむことなく詰め込みました。この方法を実践するのに、才能はあまり関係ない。どんな人でもマネできます。

—佐々木さんは、CHEMISTRYをはじめとしたアーティストへの歌詞提供もなさっていますよね。作詞もやはり、こうしたメソッドに基づいているんですか?

 そうですね。たとえばCHEMISTRYの『Long Long Way』という曲では、「忘れてた」や「忘れかけてた」のように似た単語を繰り返すことで、より心に残りやすい歌詞になるようにしています。あと、どんな歌詞にすれば歌い手がより歌いやすくなるかを重視していますね。場合によっては「この人の歌い方は『い』の音がきれいだから、サビの部分に『い』のつくコトバを持ってこよう」といったことにも気を遣って、歌詞を作る。決して思いついたことをそのまま書いているわけではなく、とにかく考え抜いて書いています。