[MLB]
佐野慈紀「岩隈&上原、好調のワケ」

スポーツコミュニケーションズ

リリーバーとしての自信とやりがい

 一方、メジャー5年目となった上原投手ですが、現在は貴重なセットアッパーとして20試合に登板し、防御率1.93というずば抜けた安定感を見せています。私が見る限りにおいては、上原投手は今季が一番いい状態ではないでしょうか。昨季まではリリーバーとして試行錯誤の部分が見えていたのですが、今季は非常にメリハリが出てきており、はじめから思い切って勝負できているような気がします。

 その要因はリリーバーとして自信をもって投げられているからではないかと思います。その自信の表れはフォークボールにあります。昨季まではフォークでかわそうという意識が見えていたのですが、今季はフォークで勝負にいっていると感じられるのです。そのために昨季までは真っ直ぐとフォークが、腕の振りによって打者に反応されているように感じられたのですが、今季はストレートと同じくフォークも迷いなく腕が振れているので、打者にとっても見極めが難しくなっているのです。

 上原投手はもともと先発投手。大学時代からエースとして活躍していました。その上原投手がメジャー移籍以降、リリーバーとしてやっていくには、難しさもあったことでしょう。リリーバーの一番の難しさは、短いイニングの中で何度もメンタルを切り替え、メリハリをつけなければいけないというところです。それが上原投手もわかってきたのでしょう。

 そして、それ以上に自分のピッチングによって勝敗の流れをどちらにでも転がすことのできるというリリーバーの楽しさ、やりがいが感じられるようになってきたのではないかと思うのです。きっちりと抑えてベンチに戻り、チームメイトとハイタッチする上原投手に、そんな気持ちが垣間見られます。

 現在、レッドソックスはアメリカンリーグ東地区でヤンキースに1ゲーム差の2位につけています。4年ぶりのプレーオフ進出、そして6年ぶりのワールドシリーズ優勝に上原投手は欠かすことができない存在です。岩隈投手同様、ケガなく、活躍してほしいですね。

佐野慈紀(さの しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商-近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日-エルマイラ・パイオニアーズ(米独 立)-ロサンジェルス・ドジャース-メキシコシティ(メキシカンリーグ)-エルマイラ・パイオニアーズ-オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6 球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。