超人気(『ラブひな』『ネギま!』)漫画家(赤松健氏)が警告「TPPはアキバ文化を滅ぼす」

フライデー

「非親告罪」。聞きなれない言葉だが、簡単に説明しよう。

 たとえばAという漫画家がBという漫画家の作品から、表現やキャラクターなどをパクッたり、パロディー化したとする。現状では、漫画家B本人が「Aは著作権を侵害している!」と訴えなければ、Aを取り締まることはできない。ところが「著作権侵害の非親告罪化」が認められるようになると、原作者であるBの訴え(親告)がなくとも、検察官の勝手な判断でAを起訴できてしまう、というのだ。

「ある漫画にドラえもんそっくりのキャラクターが登場したとします。これまでは著作権者の藤子プロが『これは盗作だ!』と訴えなければ問題にならなかった。ところが非親告罪化が認められると、一読者が警察に『ドラえもんそっくりのキャラクターが出ています。著作権の侵害です』と通報すれば、警察は動かざるを得なくなる。その作者が逮捕されてしまう可能性もあるのです」

TPPでコスプレもアウトに!?

 原作者でなくとも、パクリやパロディーを訴えることができる―そんなことが認められれば、ネット上で「あのキャラクターは別の漫画に登場する○○に似ているから、許せない」などという指摘が蔓延し、いたるところで裁判沙汰になる可能性もある。TPP交渉の結果次第では、日本は「著作権訴訟大国」となるかもしれないのだ。

 もちろん、悪質すぎる模倣やパクリは論外だが、なんでもかんでも摘発可能となれば、漫画界、ひいては日本の創作文化の衰退につながる恐れがある。

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「商業漫画のパロディー表現でも訴えられる可能性があるのだから、二次創作同人誌はほぼアウトになります。大半は原作者の許可をとっていませんからね。これまでは原作者が同人誌を訴えることはあまりなかった。ところが非親告罪化が認められれば、『あの同人誌は○○のパクリだ!』と通報する人が続出するようになるでしょう。同人誌サークルなんかは、壊滅してしまうかもしれません」

 同人誌だけではない。コスプレイヤーも「原作の著作権を侵害している」と通報されたり、場合によっては警察に逮捕されることも起こり得るのだ。

「ニコニコ動画などのMAD動画(既存のアニメやゲームなどの映像を編集し、別の映像作品に仕上げたもの)も、ゲーム実況系の動画もダメ。現在アマチュアとして活躍する作家たちの活動が、著しく制限されることにつながるんです。同人誌は作れない、コスプレはできないとなったら、コミックマーケットや〝アキバ文化〟が消滅してしまうかもしれません。

 二次創作同人作家やコスプレイヤーは、将来的にはプロの漫画家やアイドルになる可能性を秘めています。私だって、できることなら政治に関わりたくはないですよ。ただ、非親告罪化は漫画界の裾野を狭めることにつながります。私もプロの漫画家になる前は、セーラームーンの同人漫画なんかを描いて画力を鍛えた。未来の漫画家を潰してしまうような政策には、賛成できません」