短期連載 早熟の才能は、どうすれば順調に育つのか「神童」たちの「その後」 小学生社長の中学受験

フライデー プロフィール

 意見の異なる両親に挟まれて維斗くんもマイペースに持論を展開する。

「正直、(両親は勉強や進路の)助けにはならないです。だって、小さい頃から基本的に親から直接仕入れた知識は多くないから。でも、僕が人生という坂道を上っているとしたら、親はいつも落ちないように支えてくれている。そのことは感謝しています」

 多くの秀才が目標とする東京大学を頂点とする「学歴ピラミッド」は、維斗くんの構想にそもそも存在しない。維斗くんは「社長を一生やるつもりはない。夢はあくまで研究者になること。今はどの分野に進むかを模索中」と明言している。マイペースな〝天才〟に翻弄される親は、かように大変なのだ。

親に求められるエネルギー

さくらまやさんは10歳で歌手デビューする前から各種の英才教育を受けていた

 これまで私は「神童」と呼ばれる子どもたちを20人近く取材してきたが、彼らの幼少期の様子を親と本人から聞くにつけ、やはり独特だと思わざるを得なかった。まず「好きなこと」へののめり込み方が尋常ではなく、3~4歳の頃から類希なる集中力を見せる。演歌歌手のさくらまやさん(14)は、泥団子を作り始めると、まん丸でピカピカに仕上がるまで脇目も振らず磨き続ける子だったし、卓球界で将来を有望視される平野美宇さん(13)も折り紙を納得がいくまで延々と折り続けたという。その集中は、親が「もうやめよう」と声をかけるまで続くのだ。

 その集中力も、好きなことだけという場合も多い。史上最年少でメジャーデビューしたジャズピアニスト・奥田弦くん(11)は、レコーディングでは一拍の取り方の違いについて大人と議論を交わし、哲学書を読む。しかし、学校の成績は振るわず、壁新聞を作ったときには、周りの子は文字とイラストをきれいにレイアウトする中、弦くんだけは真ん中に大きな柚子のイラストのみを描いた。やる気のないことにはとことん手を抜く。

「神童」たちの多くは、興味の赴くまま、自分の文脈でしか生きられないという傾向を示すことがある。そのため、学校生活になじめなかったり、友達ができなかったりするケースもある。算数オリンピック(小学生対象)で金メダルを獲得した男児の母親は、学校の教師から「一度、病院へ連れて行ったほうがいい」と言われたそうだ。

 才能児教育の研究を行う愛媛大学教育学部の隅田学准教授は、こう語る。

「多くの教師が特異なまでに才能のある子どもと出会ってはいるのですが、どう指導するかというガイドラインがありません。才能を認め、それを伸ばそうと工夫するか、面倒だと放っておくかで、その子の将来が変わる可能性があるのです」