ポール・クルーグマン「失業の罠~アメリカに生まれた「永久失業者」という階級」

就職説明会の会場で仕事を探す人たち---〔PHOTO〕gettyimages

いつかギリシャのようになるというヒステリー

 フランクリン D. ルーズベルト大統領はかつて国民に、唯一恐れるべきは、恐怖そのものであると語った。しかし、後世の歴史家が、大失敗したわれわれの経済不況への対応を振り返ったとき、彼らは恐怖自体を非難はしないだろう。その代わりに、間違った対象を恐れたことに対して、現在の政治指導者を厳しく非難するに違いない。

 なぜなら、もっぱら経済政策を駆り立ててきた恐怖とは債務ヒステリー、つまり、支出を大幅に削減しなければ、いつギリシャのようになってもおかしくないという恐怖であるからだ。結局のところ、エコノミストたちが論証したのは、公的債務がGDPの90%を超えたら経済成長は破綻するということではなかったのか?

 名だたる債務の境界線(レッドライン)というやつは、お粗末な計算で裏付け強化された、疑わしい統計学が作り出したものに過ぎなかったわけだ。それにアメリカはギリシャじゃないし、ギリシャになるはずもない。というのは、自国通貨で借金する国々は、他国の通貨に頼る国々とはずいぶん違う法則で動くからだ。現に、何年もの間、財政危機は目前だと警告され続けてきたにもかかわらず、米国政府はいまだに信じがたい低金利で借り入れができているではないか。

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