「さすらいの野武士」が語る野球人生
そして金本、伊良部、愛犬、秀太事件のこと
下柳剛「まだ、投げてみたい」

フライデー プロフィール

 最後も監督室に行って、『クビになりました。あのとき、中途半端にやめなくてよかったです。ありがとうございました』と伝えました。星野さんからは『最後にホームで1イニング投げろ』と言っていただきましたが、『まだ続けるんで、その舞台は要りません』とお断りしました。引退試合っていうのは、らしくないと思いませんか? もがいてやめたほうが下柳らしいでしょ。キラキラした舞台は似合わないですから」

 下柳は今年2月、ダメならここが最後という気持ちでドジャースのトライアウトに臨んだ。ところが思わぬ事態が……。

「キャッチャーが変化球を捕れなくてね(笑)。フォークはもちろん、スライダーも捕れない。だから、マウンドに上がってもサインは真っ直ぐばかり。しかも、審判がいないからカウントがわからない。

 自分の感覚ではカウントは2‐2、そのときだけはサインに首を振ってフォークを投げた。バッターが見送ると、一塁へ歩き出すから『ハァ?』ってね。あれが俺の最後のマウンドってことになるんです。最後の最後にキャッチャーのありがたさを実感しましたね。まあ、こんな終わり方っていうのも、俺らしいかなって」

「フライデー」2013年5月24日号より