「さすらいの野武士」が語る野球人生
そして金本、伊良部、愛犬、秀太事件のこと
下柳剛「まだ、投げてみたい」

フライデー プロフィール
食事を摂りながらのインタビュー。愛犬が同伴できる行きつけの店だけにリラックスしながら語ってくれた

 昨シーズンでともに引退した金本への思いも特別なものがある。

「アイツでもやめるんだ、と思いましたね。スイングもよくなってきたし、だいぶ投げられるようになっていたので、『もし阪神でダメでもDHのあるパ・リーグに行きゃいいやんか』ってね。でも、カネは『もう、ワシャ無理じゃ~』って」

 金本、そして阪神時代、バッテリーを組み抜群の相性を誇った矢野燿(44)は、それぞれ下柳にとってはかけがえのない存在だった。

「やっぱり3人とも口には出さずとも、意識はしてましたから。カネは肩、矢野はヒジの故障がありましたが、自分は多少痛いところはあっても投げられない状況じゃなかったので、できる限りはと思ってました。俺らの現役生活が長いと言われるってことは、それだけ若いヤツらが早くやめてるということ。毎年、やりたくてもクビになっていくヤツがいる。だから、四十すぎまでやってきた俺らは最後の最後まであがく必要があるんじゃないか、死ぬ気でやらなアカンのちゃうかと思ってやってきました」

キラキラした舞台は似合わない

 そんな思いで昨年入団した楽天の監督・星野仙一への感謝も忘れていない。阪神時代にも世話になった恩人とはこんな会話があったという。

「実は俺、昨年の春先に、二軍に落とされたとき、星野さんに『やめる』って言いに行ったんです。だけど、やっぱりユニフォームを脱ぐとなると涙が出てきて。『もう(現役は)いいです』と伝えると、星野さんは、『オマエ、そんな寂しいこと言うな。もう一回よう考えろ』と涙してくれて……。それで2~3日よく考えて、『今シーズン終わりまで頑張ります』と星野さんに改めて言いに行ったんです。