で、私はその女の子に「あんた、悪いけどよ、ちょっとちょっと」って呼んで、「これ、あんた?」と、その週刊誌を見せた。すると「そうです」って云う。
「逃げたりすると、まずいから、自首しなさいよ。私が責任持ってね、自首の形を取ってあげるから、そうすりゃね、罪が軽くなるよ」
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福富さんは、ホステスに諄々と説いた。
ホステスはすべてを福富さんに委ねる事を承諾し、結果として六年の懲役で済んだのだった。
福富さんは、警視総監賞の他に、京都府警本部から表彰を受けたという。
OBたちは、この賞があれば、交通違反などは、大目に見てくれる、と請け合った。
「でも、近頃、神通力がなくなってねえ、あんまり効かないんだよ、表彰にも時効があるのかしら」
福富さんは頻りに首をひねっていた。
『週刊現代』2013年5月25日号より