第33回 福富太郎(その三)
殺人犯ホステスを自首させた---福富氏本人が今、その「秘話」を明かす

福田 和也

 で、私はその女の子に「あんた、悪いけどよ、ちょっとちょっと」って呼んで、「これ、あんた?」と、その週刊誌を見せた。すると「そうです」って云う。

「逃げたりすると、まずいから、自首しなさいよ。私が責任持ってね、自首の形を取ってあげるから、そうすりゃね、罪が軽くなるよ」

 福富さんは、ホステスに諄々と説いた。

 ホステスはすべてを福富さんに委ねる事を承諾し、結果として六年の懲役で済んだのだった。

 福富さんは、警視総監賞の他に、京都府警本部から表彰を受けたという。

 OBたちは、この賞があれば、交通違反などは、大目に見てくれる、と請け合った。

「でも、近頃、神通力がなくなってねえ、あんまり効かないんだよ、表彰にも時効があるのかしら」

 福富さんは頻りに首をひねっていた。

『週刊現代』2013年5月25日号より