クイズ王「ワトソン」の開発責任者がヘッジファンドに転職

ワトソンの開発者David Ferrucci 氏 〔PHOTO〕gettyimages

 IBM「ワトソン」の開発プロジェクト・リーダーが、米国のヘッジ・ファンドに移籍したという。

●"David Ferrucci: Life After Watson" New York Times, MAY 6, 2013

 ご存じの方も多いと思うが、「ワトソン(Watson)」はIBMワトソン研究所が開発した質疑応答コンピュータである。ワトソンは自然言語、つまり人間が話す言葉を理解し、自らも男性の声(もちろんコンピュータの合成音声)で話す。

 ワトソンは元々、米国の人気クイズ番組「ジョパディ(Jeopardy!)」に出演し、その歴代チャンピオン(つまり人間)と対戦するために開発された。そして当初の予定通り、2011年2月にジョパディに出演し、そこでジョパディ史上最強とも言われるチャンピオン2人と同時に対戦し、見事、彼らを破って全米の話題となった。

ワトソン開発の背景にあるもの

 そもそもIBMが何故こんな特殊なコンピュータを開発する気になったかというと、それはビッグ・データ時代における同社の技術的優位性を世間にアピールしたかったからだ。ビッグ・データは、企業の顧客データのように、元々コンピュータが処理し易い形式の構造化データと、フェイスブックやツィッターに投稿される書き込みのような非構造化データに大別される。そして最近は後者の割合がどんどん増している。

 この非構造化データを解析して、人々の暮らしや仕事、そして社会に役立つ情報を引き出す上で自然言語処理は欠かせない。この技術力を養うと共に、その成果を世間に知らしめるために、IBMは「ワトソン」のようにメディアを取り込んだ派手なプロジェクトを企画したのである。

 ワトソン開発プロジェクトのリーダー、デビッド・フェルーチ氏は、かつてコンピュータに小説を書かせる試みに挑戦するなど、以前からAI(人工知能)の限界を押し広げることに関心を抱いていた。この試みは失敗したが、ワトソン・プロジェクトでは見事、クイズを理解して答えるコンピュータの開発に成功したというわけだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら