効果的な運動には「理屈」あり! 『ジムに通う前に読む本』

スポーツ科学からみたトレーニング
桜井 静香

 この男性はこう付け加えます。

「ジム運動は忍耐では続かない。忍耐と努力を間違えている人が多いけれど、頭で考えて努力しないと、身体は変わらない。人聞は面倒くさがりやだから、十分検討することを忘れてしまって、手っ取り早く、頑張る、耐える、ってことをしがち。けれど、ジムトレーニングで大事なのは、理屈。だから、わからないときはトレーナーにわかるまで聞く。これが本当に大切」

 ジムトレーニングでは、他人と同じことをしても、同じ結果が出るとは限りません。人聞は一人ひとりに個性があり、体力の差があり、人生のバックグラウンドも違います。ジムのトレーナーとしては、一人ひとりに丁寧に向き合い、理論と実践を行き来しながら、常にフィードバックしてプログラムを作成することが大事ですが、実践する側も、理論を頭に入れつつ運動することが必要なのです。この方は、そんな基本的なことを教えてくれました。

 本書では、人間の身体が研究対象となっている「運動・スポーツ科学」を軸に、ジムに行く前に知っておいてほしい運動の効果や、安全な運動方法など、さまざまな研究報告からジム運動を紹介しています。ジムで実践可能な運動メカニズムは意外と奥が深いものです。運動を始める前に、それがご自身の身体に及ぼす影響について多方向から分析してみてはいかがでしょうか。

 第6章では、運動プログラムの一例も種目ごとに列挙しています。ご自身の今の身体の状況に合うもの、興味のあるものなどだけでも構いませんので、目を通してくだされば、新しい視点でジム運動を眺めることができるかもしれません。

 さらに、ジムとは一体どんなものなのか、ジムに行く前にジムを知ってもらおうという項目も設けました。ジムに行く前の豆知識として捉えていただければ幸いです。

 運動科学理論に基づいた運動を実践すれば、半年未満の継続でも身体が劇的に変化することもあります。多くの理論を元にして整備された運動プログラムは、実践者の生活や身体に、プラス効果を与えることでしょう。

 本書がみなさんのジム運動実践のきっかけとなり、筋力トレーニングやウォーキングなどの継続のお役に立てれば、筆者としてこれほどうれしいことはありません。実践の際は、ご自身の身体とよく相談しながら、楽しく、気持ちよく、を心がけてください。

 最後になりましたが、編集の労をお取りくださった講談社ブルーバックス出版部の中谷淳史さん、この執筆に関してご助言をくださった「月刊トレーニング・ジャーナル」の浅野将志さん、そのほかご協力くださったすべての方々に感謝いたします。どうもありがとうございました。

 そして、何より、これまで運動指導現場で接してくださった、多くのクライアントのみなさまに改めて厚く御礼申し上げます。クライアントさんの存在なくしてこの本を完成させることは到底できませんでしたから。


目次
第1章 運動科学からみた身体メカニズム
第2章 基礎的トレーニングの理論と効果
第3章 ダイナミックエクササイズの理論と効果
第4章 運動継続を失敗しないために
第5章 ジム運動のQ&A
第6章 ジム運動の実践

著者 桜井静香(さくらい・しずか)
1973年宮城県生まれ。東京大学大学院生命環境科学系身体運動科学グループ博士課程修了。学術博士(専門:運動神経生理学)。在学中からスポーツ選手、生活習慣病患者、リハビリ患者など、パーソナルトレーナーとして運動科学の知見に基づいたコンディショニング指導に広く携わる。現在は札幌市在住で、早稲田大学スポーツ未来科学研究所客員研究員。
『ジムに通う前に読む本』
スポーツ科学からみたトレーニング

著者: 桜井静香

発行年月日:2010/08/20
ページ数:247
シリーズ通巻番号:1695

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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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