現代の投資と企業経営に通じるもの【後編】
谷家衛「生き残れる投資家と生き残れない投資家は、何が違うのか」

ファンダメンタルズがどう変わるのか、誰にもわからない

 原因があるから、結果がある---。長い間、投資の世界もそのような一般的な因果関係で動いていました。そして、それが理論として確立していました。

 しかし、実際には、「原因が結果からも影響を受ける時代」になっているのです。特に最近では、それが顕著になっています。

 従来は、経済成長や企業収益といった経済ファンダメンタルズによって、市場での価格が決まり、それが投資家の行動を決定していました。このとき、投資家の運用規模は市場に対して小さく、投資家の行動は価格に影響を及ぼしませんでした。ところが今では、同質性の高い投資家の行動が、価格に影響を及ぼすようになり、それが経済ファンダメンタルズにも影響していきます。

 その現れのひとつとして、ヨーロッパの債務危機がどのように波及していったかを見てみます。

 最初に起こったのは、いくつかの国の国債価格の下落でした。それが、国債を保有する金融機関のバランスシートを悪化させました。

 すると、金融機関のうち、自己資本が不足する懸念のあるところに公的資金が注入されます。結果として、債務に問題のある国の財政が悪化し、その国の国債は格下げされ、投資家は国債を売却します。

 それを受けて、その国債の価格はさらに下落する---。こういった負のスパイラルが起きているのです。

 一方で、逆のスパイラルもあります。たとえば、ファンダメンタルに比して割高な市場評価をされたネット系のベンチャーが、ファンダメンタルに比して割安な企業を、自社株を使って合併するとします。その結果、その企業のファンダメンタルな価値が上がっていく、というものです。

 このようなスパイラルがどこで止まるのか、実は誰にもわかりません。まったく予想がつかないのです。

 ファンダメンタルから株価が一方的に決まるだけではなく、逆に株価からファンダメンタルが影響を受ける。原因と結果が双方向に行き来する。

 最初の分析が正しくても、その後の株価の推移からファンダメンタルは良くなることもあるし、悪くなることもある。それがこの時代の現実です。