[サッカー]
“さすらいのgoleador”福田健二、香港での新たな旅路

スポーツコミュニケーションズ

涙のロスタイム弾

 曇天に光が射し込み始めたのは、4月4日の首位・サウスチャイナ戦だ。横浜FC香港は前半にあげた吉武のゴールを守り切り、実に公式戦5カ月ぶりの勝利をあげる。この移籍後初白星をきっかけに福田自身の歯車も好転していく。

 そして……。
<やっと、やっと、この報告ができます。4月13日のホームでのテュンムン戦。後半6分にPKで香港初ゴールを決めることができました。
 続く18日のシチズン戦でも33分に得点。ストライカーとは不思議なものです。長い間、得点がなくても、1点を獲ると立て続けにゴールが生まれます。シチズン戦では20歳のMFウォン・ワイのCKにニアへ走り込んで頭で合わせました。強烈なヘディングシュートが突き刺さったので、気持ち良かったです>

 香港は元英国領だけあって、サッカー人気は高い。イングランドのプレミアリーグとのつながりもみられ、日本にいては分からない発見もあった。

チェルシーのサッカースクール。横浜FC香港とも提携している。

<たとえば娘たちが通っているサッカースクールはチェルシーが立ち上げたもの。専用のグラウンドで、英国でコーチ修行した日本人も指導にあたっています。言うまでもなく指導カリキュラムはチェルシーの下部組織で実践されている内容です。

 娘たちのクラスでは楽しくボールを蹴ることに主眼を置いていますが、もう少しレベルが高くなると足の使い方ひとつから細かく教えています。こういう部分にもきちんとお金をかけられるのは、さすがビッグクラブです>

 そして迎えた5月4日の最終節。ドラマが起こる。他会場で下位クラブが勝ち点を積み重ね、横浜FC香港は引き分け以上でないと最下位、つまり降格してしまう危機に直面する。90分までは1-1の同点。しかし後半ロスタイム、悪夢の勝ち越し弾を相手に許してしまう。試合時間はもうほとんどない……。ラストチャンスでつかんだコーナーキックにすべてが託された。

<蹴り込まれたボールは僕のところへ一直線に向かってきます。当然、相手のマークは厳しく、前後に選手が張り付いていました。
「絶対に決める! 決めてやる」
 もう、その瞬間はそれしか考えていません。僕は無我夢中でボールに飛び込みました。

 この後のことは、頭が真っ白で覚えていません。ボールの行方は……ゴールネットを揺らしていました。僕のヘディングシュートが決まっていたのです! 今年でプロ生活18年目。いろいろなところでゴールを決めてきましたが、今回の1点は僕の中でサッカー人生で3本の指に入ります。サポーターも、チームメイトも、スタッフも劇的なゴールに感極まっていました。僕も不覚にも涙がこぼれましたね>