5月に入った今、手放せないのがマスクです。
「もうGWも終わったのに!?」
という声が聞こえてきますが、そう、今だからこそなんです。
実は5月に入って各地で乾燥注意報が出っぱなし。東京は5月2日からずっと乾燥注意報が出ていて、10日間続く見込みとか。また湿度は30%前後で、「インフルエンザが流行る秋とほとんど同じ状態」となっています。
そもそも今年に入ってからは乾燥・花粉・PM2.5と声枯れ要素のトリプルパンチで、喉は脅かされっ放し。私もマスクが手放せませんでした。
「アナウンサーだから、日頃から声帯を鍛えてるんじゃないの?」
「声帯の鍛え方を教えて」
そんな質問もよく受けますが、実は声帯は鍛えられないのです。
声は「声帯」という器官によって作られるのですが、声帯は1.5~2センチ程度の粘膜と筋肉でできた細長いひだです。
「筋肉」といっても現実的には自分の意志ではコントロールできないので、皆さんがイメージする「声帯の鍛え方」はありません。ごめんなさい。
他の筋肉のように何かを「動かす」というより、「動かされる」ことが仕事なんですね。
声は、肺から吐き出された息が声帯にぶつかり、その時の振動で音(声)が発せられます。日常会話では、成人男性で1秒間に100回くらい、成人女性では200回くらい振動していて、人体の中でも最も速く動く臓器と呼ばれているそうです。
ですから、無理に大声を出して力んだり、また乾燥させたりすると声帯が振動しにくくなり、「鳴り」が悪くなるのです。
出来るだけ余計な負担をかけず潤いを持たせなければならない非常にデリケートな器官なので、声帯は鍛えるというよりはむしろリラックスさせている状態を保つのが大事なのです。
じゃあ、私たち声を使う職業の人がどうやって訓練しているかというと、声帯の周りを鍛えています。簡単に言うと、腹式呼吸を支える腹筋作りや、肺活量を増やすこと、声の出やすい姿勢に気を付けることでしょうか。