[BCリーグ]
信濃・岡本哲司監督「チーム力アップにつながる若手の成長」

スポーツコミュニケーションズ

課題は機動力と先発

 ここまで11試合を消化しましたが、結果はどうであれ、楽なゲームはひとつもありませんでした。試合の中には必ず「ここは絶対に1点を与えてはいけない」「ここで得点すれば、流れを引き寄せられる」といった勝敗を分けるターニングポイントがあります。その時に、力を発揮できるか否かが、結果につながっていくのです。ですから、選手たちが試合をやっていく中で「ここだ」という流れを感じ取ることが非常に重要です。流れを感じとり、それを実行に移すことができるチームこそが強いのです。少しずつではありますが、信濃の選手も自分たちで「ここだ」と感じ取り、率先して動き出すことができるようになってきています。

 現在の最大の課題といえば、やはり機動力ということが言えると思います。チームには涼賢、ダイチ、宮澤、川口圭大(松商学園高-玉川大)と俊足の選手が揃っています。しかし、その足を使うことができていません。リーグにおける盗塁数のベスト10には誰ひとり入っていない状況です。若い選手の積極性は、チームに勢いをもたらします。そういう意味でも4人の選手の成長こそが、チームの攻撃力をアップさせるキーポイントとなると思っています。

 一方、投手の方はというと、先発陣を安定させたいですね。防御力を高めるため、開幕投手を務めた杉山慎(市立船橋高-日本大-全金足クラブ)をセットアッパーにしたこともあり、先発がまだしっかりと固まっていません。その中で、新加入のブランドン(デビルレイズ<マイナー>-ドジャース<マイナー>)の台頭は大きいですね。彼はポテンシャルが高く、真っ直ぐに力がありますし、カーブや右打者へのチェンジアップも有効です。ピッチャーとして完成度が高いですね。

 そのブランドンに続いて、サウスポーの有斗(所沢商業高-東京国際大)も3試合に投げて2勝と結果を出してくれています。しかし、甲斐拓哉(東海大三高)が不安定で、もう一人、先発が欲しいところ。候補としては、知成(新潟明訓高-武蔵大)です。ここまで中継ぎとして3試合に投げて7回2/3を3安打無失点、防御率0.00。この安定感は魅力的です。近々、彼を先発として投げさせてみたいと思っています。

 さて、監督就任1年目の私にとっても、BCリーグの現場は初めての経験なわけですが、印象としてはどの球団の選手も野球への意識が高いということです。これは想像していたものよりも、はるかに上でした。先述したように、楽な試合はひとつもありません。それだけ、両チームが全力でぶつかり合っている証拠でもあります。客観的に見ても「この内容であれば、きっと観客にとって見応えのあるものになったに違いない」と思うのです。そういう現場で指揮を執らせてもらっていることに感謝しながら、今後、さらに選手が成長できるような道をつくっていきたいと思っています。

岡本哲司(おかもと・てつじ)>信濃グランセローズ監督
1961年3月15日、和歌山県生まれ。吉備高校(現・有田中央高)、神戸製鋼を経て、85年ドラフト6位で大洋(現・横浜DeNA)に入団。90年、ト レードで日本ハム(現・北海道日本ハム)に移籍し、96年に現役を引退した。翌年から指導者としての道を歩み、2006年までの10年間、日本ハムでバッ テリーコーチ、二軍監督などを務めた。08年から11年まで、横浜で二軍ディレクター、一軍総合コーチ、編成部長を歴任。今季、信濃グランセローズの監督 に就任した。