小泉武夫 第1回 「ロンドンのお土産に英国王室御用達"ロイヤルビーンズ"をくださった高円宮殿下の思い出」

島地 勝彦 プロフィール

小泉 でもシマジさんも強いですよね。酔ったところのを見たことがない。

立木 教授、シマジはやんごとなく見られたくて、そう振る舞っているだけですよ。

シマジ そう、そう。面白いお話を殿下がされていたことを思い出しました。その宴のとき、ある従兄弟の方が天皇陛下にご質問されたそうです。

小泉 面白くなってきたぞ。

シマジ そのやんごとないお方が昭和天皇にお訊きになったそうです。

 「陛下、いままででいちばんお困りになったことはなんでしょうか」

 すると陛下はこう仰ったそうです。

 「いちばん困ったのは、戦後すぐの行幸で夕張炭鉱に行ったときです。わたしが座っていると、坑内から飛び出してきた若者が『天皇陛下、いまは民主主義の世の中になったのです。ぼくと民主主義的に握手してください』といい、真っ黒い手を出してきた。そのときわたしは瞬時に、『日本式に挨拶しましょう』といって丁寧にお辞儀をしてその場をしのぎました」

小泉 昭和天皇陛下、さすがですね。

シマジ そうですね。咄嗟のことでもこのように振る舞えるのが帝王学なんでしょう。

 帝王学といえば、子供のころ、昭和天皇とご兄弟たちが皇居のなかでかくれんぼをなさったときに、高円宮殿下のお父上(三笠宮)が鬼になって「もういいかい」「まあだだよ」とやって、そろそろみんな隠れたかなと目を開けてみたら、昭和天皇だけは長くて広い廊下をただひたすらまっすぐに走っていたそうです。

 これは殿下が父上から聞かれたお話だそうですが、やっぱり天皇になるお方は隠れたりしてはいけないんだそうですね。

小泉 そるほどねえ。皇太子のころのエピソードですね。場所は多分松の廊下でしょう。