[MLB]
杉浦大介「“意外な”好スタート、ヤンキースは勝ち続けられるか」

スポーツコミュニケーションズ

開幕直前の補強選手が活躍

 しかし、例年に比べて人材不足でも、ヤンキースはやはりヤンキース。ロビンソン・カノはさすがの活躍(打率.324、8本塁打、18打点)をみせている。好成績を残しているのはこのドミニカ産の天才打者だけではない。ハフナー(.304、6本塁打、17打点)、バーノン・ウェルズ(.298、6本塁打、13打点)、ライル・オーバーベイ(4本塁打、12打点)といった開幕間近に駆け込み移籍してきたベテランたちが意外な働きでチームを支えているのだ。

「(サポーティングキャストのプレーぶりを)喜ばしく思う。常にきれいな戦い方ができているわけではないが、必要なときにクラッチヒットが飛び出している。投手陣も良い仕事をしてくれている。好調期間に到達するのに時間がかかった選手もいるけど、調子を上げてきてくれている」

徐々に調子を上げてきたイチローも多くの得点に絡み始めている。Photo By Kotaro Ohashi

 ジラルディ監督が語るように、脇役たちがチームを支えてくれている間に、当初は不調だったイチロー、エドュアルド・ヌネスらも徐々に復調気配。イチローは4月最後の7試合で打率.407(27打数11安打)と急上昇し、5月1日にも今季初の三塁打を放つなど、打線の起爆剤になりつつある。

「(故障者続出でも勝ち続けるのは)他のチームではあり得ないと思うよ。何とかしようという思いもここは強い」

 イチローもそう表現していた通り、ときにカウントを稼ぎ、ときに走者を進める打撃に徹し、勝利に向かって真っ直ぐ進む姿勢がヤンキース内では徹底されている。1点差試合でも5戦全勝と強さを見せているのは、接戦でもそれぞれが仕事を果たしているからだろう。

 これが過去18シーズン中17度もプレーオフ進出を果たしてきた伝統の強さか、いわば“飛車角抜き”の状態で過去と同じ戦いができているのは見事である。現時点でメジャー最高成績のレッドソックスに2.5ゲーム差の位置に留まってきたことは、ヤンキースというオーガニゼーションの底力を示しているのだろう。 もっとも、今季はまだ27戦が終わった時点。いわゆるスモールサンプルに過ぎず、“名門が強さを発揮している”と結論づけるのは早過ぎる。

今季序盤戦は好調なウェルズも、近年は成績が停滞していた。Photo By Kotaro Ohashi

 ハフナー、ウェルズ、オーバーベイといったベテランたちを開幕直前に獲得することがなぜ可能だったかといえば、ここ数年不振だったため。彼らはすでに黄昏期と目され、1年を通じて活躍できる力は残っていないと他チームから判断されていたからだ。だとすれば、その選手たちが今後もサプライズな仕事を続けられるのかどうかは疑問符もつく。

 穴埋め選手たちの調子がやや低下を始めた頃、タイミングよくケガ人たちが帰ってきてくれればベストではある。しかし、5月以降に戦列に戻れそうなグランダーソンやテシェイラも、すぐに力が出せるかどうかは未知数。重傷からの帰還を目論むジーター、A・ロッド、マイケル・ピネダらは、今季中に現実的な戦力になるのかも微妙なところである。

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