週現スペシャル 大研究 遺伝するもの、しないもの 【第2部】これが遺伝する病気です【 第3部】「親の才能」——何が子どもに受け継がれるのか

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 ちなみに、脳卒中の後遺症として認知症が発症することも多いが、遺伝する脳卒中も見つかっているという。20~30代など、非常に若い段階で発症した場合は、その可能性が高い。

 高血圧、糖尿病、脂質異常症……といった病気は「生活習慣病」という名がついているのだから、遺伝は関係ないだろうと思ったらそれは大きな間違い。

「すべて、遺伝と関係しています。複数の遺伝的な背景の上に、生活習慣が影響して発症しているのです。

 糖尿病はなかでも遺伝的要因が高い。両親とも糖尿病だと、その子どもが65歳までに発症する確率は40~50%程度。これは一般的な集団と比較して約5倍の確率です。

 高血圧も、両親が高血圧だと子どもは約50%で発症し、片方の親の場合は20~30%。これらの延長線上に、心筋梗塞や脳卒中といった病気による突然死が控えているので、予防や早期発見のために、生活習慣病の家族歴を知っておくことも大切なのです」(池谷医院院長・池谷敏郎医師)

 池谷医師によると、心筋梗塞も、原因と思われる特異的な遺伝子が発見されているという。

 痛風の原因となる遺伝子も、'09年に世界で初めて発表された。それまで、原因不明とされていたのだが、防衛医大や東京大学などのグループの研究で、痛風患者の約8割に、"痛風遺伝子"とも称されるABCG2という遺伝子が認められたのだ。

 もうひとつ、食生活の影響が大きい胆石症も、遺伝するという。

「30%程度は遺伝的要因があると言われていて、関連遺伝子も3つほど目星がついています。胆石は女性のほうがなりやすく、50歳以上で比較すると男性の2倍の発症率。これは、女性ホルモンの受容体が胆石症と関連していると考えられます。とくに、親が胆石症になったことがある女性で、BMI(体格指数)30以上の太った人は、注意が必要です」(江田クリニック院長・江田証医師)

 もうピークは去ったが、この春、花粉症に悩まされた人も多いのではないか。花粉症は、そもそもは体内の免疫機能に異常をきたして発症する一種のアレルギー反応。このアレルギーにも、遺伝の影響が大きい。前出の池谷医師が言う。

「原因となるアレルゲンに反応する体質は遺伝的に決まっており、花粉症だけでなく、アトピーや喘息なども同様に遺伝的疾患といえます。ただ、発症には遺伝的な要因だけでなく環境因子も関係するので、親と同じアレルギー疾患になるとは限りません。また、幼少期はアトピーだったのが、小学校に上がると気管支喘息に変わり、成人になると花粉症になるということも多く、これを"アレルギーマーチ"と呼びます」