二宮清純レポート ダルのこと、大谷翔平のことを語りつくす
陽岱鋼「なぜ日ハムはいいチームなのか」

週刊現代 プロフィール

 なかば呆れたような口調で言い、陽は続けた。

「試合中、平気で僕の方を指さすんです。"ライトに行くぞ"とかね。すると本当に打球が飛んでくる。右打者に内角の真っすぐでわざと詰まらせたりして、僕の前にフライを上げさせる。

 バッターも、それを見てダルの狙いがわかるはずだから、守っていて思いましたよ。"別にそこまで教えなくてもええやん"と。バッターにしてみればショックでしょうね。ダルの思い描いたとおりになるんですから。"相手も大変だろうな"と同情しましたよ」

獰猛で俊敏な「虎」

 日本語の習得に苦しんだ陽は、積極的に話しかけることで言葉の壁をひとつひとつクリアしていった。

 プロになった今でも、その姿勢は変わらない。試合前、後輩の中田翔にバッティング指導を受けているシーンを目にしたことがある。

「わからないことを聞くのに先輩も後輩も関係ない。翔は僕に言わせれば天才的なバッティングセンスの持ち主。"どうやって打つんや?"と僕の方から聞きに行きます。

 ただひとり教えてくれなかったのが、昨年までチームメイトだった糸井さん。僕、去年のキャンプでバッティングフォームを変えたんです。糸井さんのを、ちょっと真似して。

 それで糸井さんに"ちょっと見てください。どこか、もっと変えるところはないですか?"と聞いたら、"オマエは完璧だよ"と。どこが完璧やねん(笑)。すぐにコーチに"糸井さん、教えてくれないんです"とチクりました(笑)」

 茶目っ気たっぷりの語り口。帽子からのぞく茶髪が天真爛漫さを演出する。しかし、本人によると、これは「作戦」なのだそうだ。

「僕、見た目のイメージ悪いでしょう? 先輩からも"オマエはチャラい"と、よく言われる。でも、こうやってギャップをわざとつくっているんです。

 だってヒーローインタビューで"サンキューで~す!"と言った後、急に真面目に答え始めたら、"いやぁ、野球に対する情熱はスゴイんだ"となるじゃないですか。そこが狙いなんです。実は僕、意外にしっかりしているんです(笑)」

 なるほど。しっかりもしているし、ちゃっかりもしている。優等生を絵に描いたような大谷とのコントラストまで考えているのか。