二宮清純レポート ダルのこと、大谷翔平のことを語りつくす
陽岱鋼「なぜ日ハムはいいチームなのか」

週刊現代 プロフィール

 陽は台湾の英雄であるソフトバンク・王貞治監督

(当時)の下でプレーすることを熱望していた。抽選後、左手を挙げたのは王だったが、これは勘違いで、「交渉権確定」の文字が入ったクジを持っていたのは日本ハム監督(当時)のトレイ・ヒルマンだった。

 再び中島。

「あくまでもクジの結果なのに、こっちはすっかり悪役になってしまいましたよ」

 初めての北海道。ベランダに積もった雪を見て、台湾育ちの陽は絶句した。

「えっ、ここで、どうやって生活するの?」

 今は札幌市内でマンション暮らし。住めば都とは、よく言ったものだ。

「札幌大好きです。寒さにも慣れました。食べ物もおいしいし、ホントにここに来て良かったです」

 今季は大物ルーキーも入ってきた。"二刀流"の大谷は、野手で出場する時は陽の隣を守る。若葉マークのライトに、陽はどんなアドバイスを送っているのか。

「翔平はいい肩してますよ。後は打球判断だけです。たとえば二遊間がセンターラインを締めれば、一、二塁間を狙われる。そんな時は逆に外野手の見せ場なんで、"勝負しろよ"と言います。すると"はい、わかりました"って。翔平、すごく素直ですよ。

 バッティング? ボールの見逃し方がいいね。追い込まれて落ちるボールがくると、普通、高校出たばかりの選手だと、すぐに振っちゃうんです。でも彼はフォームが崩れない。僕なんて、全部振っちゃってましたから(笑)」

 ピッチングについては、どうだろう。

「東京ドームのオープン戦(対楽天)で投げた時、僕、センター守っていたんです。後ろから見ると、ボールの軌道がよくわかる。いきなり手がトップの位置にきて、リリースポイントがものすごく高い。しかも彼は腕が長く、球持ちがいいから、バッターはすごく距離が近く感じられると思うんです。"あっ、これは打てんわ"と即座に思いましたね」

 日本ハムから移籍して、昨季はレンジャーズで16勝をあげ、さる4月3日には完全試合にあとひとりと迫ったダルビッシュ有との思い出についても聞いた。

「ダルは守っていて楽。だって全部、彼の指示したとおりなんですから……」