第2部はこちらをご覧ください。
麻木 TPPは、やったら日本はおしまいだっていう人と、やらなきゃ日本はおしまいだっていう人がせめぎ合っていって、どっちの人の主張を読んでも、私なんかは「そうだな」って思っちゃうんだけど……。
髙橋 でも、どっちかだよね。
麻木 だって、どっちもそれなりにもっともなことを言ってる。もちろん、どんな政策であってもこっちをとったら100%バラ色っていうことはないわけだから、懸念材料はどっちにもあるんだと思うんだけど、お二人は当然、TPPに賛成ですよね。
髙橋 まずTPPに参加したら、日本国全体で所得が増えるか、増えないか、どっちだと思います?
麻木 日本国としての所得?
髙橋 そう。全部足し算するの。損するやつはいるに決まってますよ。それはマイナスとカウントするのね。得する人はプラスとカウントして、全部足し算したらどっちになるか。
麻木 私のドタ勘で言えば、ちょい増えるような気がするんだけど、その増えた分っていうのはこの社会の上層のところにたまるんじゃないか、と。
髙橋 上層にたまるか、たまらないかは別にして、数字で言えば3兆円ほどメリットがあります。でも3兆円ほど損する人がいる。損する人はほとんどが生産者。
麻木 私は損する側だ。そんな気がする。
髙橋 生産者じゃないでしょ。
長谷川 消費者はだいたいプラス。
髙橋 自分で農業をやってる人は損になります、はっきり言えば。だから農業をやってないで、生産物を買って食べるだけの人ね。これはプラス、間違いなく。それと、あと輸出する人はプラス。
長谷川 だから麻木さんはプラスだよ。絶対プラス。
髙橋 プラスですよ。もしマイナスだって言うなら、じゃあ家計簿持ってこいっていう話。私がつけてあげる。必ずプラスになりますよ。この手の話は、最初に国全体がどうなるか考えるわけ。6兆円プラスになる人たちと3兆円損する人たちがいるわけね。そういう損をする人には、差し引きでプラスになる3兆円を回してあげればいいんだよね。
麻木 ここでまたちょっと質問なんですけど、今、騒がれているのは基本的には農業の問題で、あたかもTPP=農業問題、農業の関税障壁問題みたいな話になってるんですけど、それはどうなのか。知的財産権とか、保険とか、あらゆるところ懸案があるんでしょ。
髙橋 他のでもいいよ。みんな原理は同じ。メリットとデメリットがあるけど、メリットのほうが多い。
(中略)