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第3部 アベノミクスの死角
死角1 日銀リスク ~日銀は本気でインフレ・ターゲットに取り組むか
アベノミクスは「三本の矢」と表現されますが、金融政策、財政政策、経済成長戦略という三本の矢のうち、もっとも重要なのが金融政策です。財政政策は金融緩和をしたうえで実施されてはじめて効果が得られるものです。経済成長戦略は規制緩和と民営化が柱ですが、個別業界を支援するための日本型産業政策が復活するようではかえって成長は期待できません。
金融政策の核となるインフレ・ターゲットは安倍総理自らが旗振り役となっているわけですが、実際に政策を行うのはあくまでも日銀。アベノミクスが本当に成功するかどうかは、日銀が本気でインフレ・ターゲット政策に取り組むかどうかにかかっています。
「序」でも触れましたが、日銀はインフレ・ターゲットの採用を決めた2013年1月の金融政策決定会合で、「2%の物価上昇率」を達成するための金融緩和策も決めました。しかし、その内容があまりにもひどかった。
日銀は、金融機関から国債などの金融資産を買い入れるための基金を設けています。基金で資産の買い入れをして、市場にマネーを供給するわけです。ですから、基金が保有する金融資産の残高が金融緩和の大きさをはかる目安になります。
日銀は「2013年末までに基金の残高を101兆円に増やす」とし、2014年以降については、毎月13兆円の金融資産を買い入れることを決めました。期限を設けず、無期限に金融資産を購入していくことも決めています。