週現スペシャル 第2部 第3部
「天才」と呼ばれた人が、本物の「天才」に出会ったとき

週刊現代 プロフィール

「私にとって、一人でノートに向かって考える時間はとても楽しいもの。中学1年生くらいで、将来は数学者として生きていこうと、漠然と思っていました」

 東大入試の日はインフルエンザと花粉症のダブルパンチに見舞われたが、「徹夜明けで東大模試を受けたりして、不調でも合格できるシミュレーションができていた」ため、不安はなかったという。

 現在は数学の研究者として、「好きなことを仕事にできている」実感がある。

「ただ、数学はすぐにお金になる学問ではないので、社会的に数学者のポジションが確保されていないとは感じます。民間企業はもちろんですが、大学でのポジションも少ない」

 当然、報酬も、東大理系を出てたとえば外資系証券会社でバリバリ働いている人間に比べればはるかに少ないが、児玉は言う。

「お金は生きるのに最低限あればいいし、数学は自然科学と違って『nature』のような有名雑誌に論文が載った、という権威もいらない。どんなマイナー雑誌でも、論文に価値があれば世界で評価される。誰の目にも結果が明白。そこが数学のいいところですね」

 児玉は研究にコンピュータを使うこともしない。まだ誰も知らない「新しい定理」の発見を目指して、今日も一人、ノートに向かっている。

 昨年、全日本珠算選手権大会で読上暗算4年連続7度目の優勝を果たした暗算チャンピオン・堀内祥加(23歳・早稲田大学教育学部卒)にとって、数字はそろばんの珠の位置にすぎない。

 堀内がそろばんを始めたのは2歳のとき。母が営むそろばん教室で育った彼女にとっては自然なことだった。小学4年生のときに千葉県から関東大会に進出すると、平日は日に3時間、土日は9時~17時という怒濤の練習を始める。するとめきめき頭角をあらわした。全国大会の上位常連となり、高校3年時には総合優勝も果たしている。

 彼女は暗算をするとき、頭の中にそろばんを正確に思い浮かべる。そしてイメージ上のそろばんの珠を、イメージの指で弾いて計算するのだ。だから堀内は「暗算するとき、つい右手の指が動いてしまう」。

どんどん神の領域へ近づく

 だがそのイメージがウソでないことは、脳科学的にも裏付けられている。

「小学6年生のとき、暗算中の脳の働きを計測してもらったことがあるんです。検査してくださった先生に、『こんな脳は初めて見た』と驚かれました。私は暗算しているとき、右脳全体がものすごく活発に動いているんだそうです」

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