週現スペシャル 第2部 第3部
「天才」と呼ばれた人が、本物の「天才」に出会ったとき

週刊現代 プロフィール

 長戸のクイズへの目覚めは6歳のときだった。幼稚園から帰り、テレビでクイズ番組を見ていて、意味もわからずふと呟いた、

「リンカーン」

 という言葉が、たまたまクイズの正解だったのだ。長戸少年ははじめて「正解の快感」を知った。そして小学6年のとき、ついに『ウルトラクイズ』が放送開始された。長戸は言う。

「すぐ夢中になって、中2のとき、絶対に出て優勝してやると決意しました。クイズ本を買い込んで、猛勉強を始めました」

 もともと「5歳のとき大阪万博グッズのおもちゃで参加77ヵ国を覚えた」というほど記憶力はよかった。

 それから高校卒業までの5年間、出場したクイズは『アップダウンクイズ』だけ。長戸は早押しボタンを自作し、さながら山ごもりでもするかのように、一人で黙々とクイズ修業に勤しんだ。

 そして立命館大学のクイズ研究会に参加して、「大学生のレベルの低さに愕然」とする。孤独な修業の結果、長戸は図抜けたクイズ力を手に入れていたのだ。

「僕は天才には2種類いると思うんです。一つはなんでも継続できる人。二つ目はなんでもできる人です」

 言い換えれば、「まったく飽きない人」と「飽きっぽい人」となるだろうか。前者の代表が長戸だろう。ウルトラクイズ優勝を果たすまでに、長戸は5年連続で予選落ちを経験している。そして後者の代表として長戸が挙げ、「一生頭が上がらない」と言うのが、第4回優勝者にして、ウルトラクイズ唯一の女性王者、山口由美(旧姓・上田、53歳)である。

「本当になんでもできるんです。まずウルトラクイズ。実家の不動産屋でOLをやっているときに出てみようと思いついて、出場してみたら一発で優勝してしまって、それ以来クイズ番組は一切出ていない。後で聞いたら、高校時代はフェンシングをやっていて、インターハイで優勝するほどの選手だったとか。おそらく私が知らないだけで、彼女ができることはもっと無数にあるはず。彼女は、『気が向いたらそれができてしまう』人なんです。それは彼女に図抜けた集中力があるからだと思います」

 長戸と山口が「クイズに最も必要な才能は何か」という話をしたとき、一致したのが「集中力」という答えだった。

「クイズの勝敗は知識の多寡で決すると思っている人は、一生クイズでは2位止まりでしょう。知識はもちろん最低条件として必要ですが、その向こう側の世界がある。私も経験がありますが、クイズで本当に集中しているときというのは視野がものすごく広がるんです。早押しボタンの硬さ、隣の解答者の仕草、問題を読むアナウンサーの口元、空の青さ、それがすべて見える。そういう状態のときは絶対に押し負けません。

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