独占インタビュー 大谷翔平 打撃コーチは気が付いた

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 渡辺コーチも同じ感想だった。2打席目、三振してベンチに帰ってきた大谷に、渡辺コーチはこう声をかけた。

「いやあ、あのスライダーを見逃せるようになったら、年俸は一気にウン千万もらえるよ」

 それは、まさに「1打席ごとに成長している」ことへの賛辞だった。

「雄星のあの球(三振になったスライダー)を見極められたら一足飛びにレギュラーですよ。あの打席で私が何よりいいなと思ったのは、1打席目も2打席目も、ストレートをしっかり振ってファウルにできていること。決め球が来る前に打つ。現段階での三振はね、全然いい。今は『若いカウントのうちに打ちにいけ』と言っていますから。その点でも、あのファウルだけで十分に合格です」

 凡退の中にも、成長の足あとを残す。それは、「二刀流」という難題に挑戦していく上で、もっとも重要な要素であり、大谷がいかに非凡であるかを示す事実でもある。渡辺コーチは言う。

「打者でもあり、投手でもあり、そして外野手でもある。当然、打者としての練習量は、100%野手の選手より格段に少ない。だからこそ『一打席一打席を大事にしよう』と。一足飛びにいかなくていい。それでも十分な速度で成長していますから」

 渡辺コーチが、そんな大谷の「成長速度の速さ」を確信したのは、「二刀流デビュー」を果たした東京ドームでのオープン戦のことだ。直前に最速157㎞を投げ、1イニングを切り抜けた大谷は、ランナー二塁の場面で打席に入る。

「そこで初球のアウトローを引っ張って、一、二塁間に進塁打を打ったんです。感心しました。というより、びっくりしました。

 あの球は、並の左打者なら引っ張れない。流し打ちでファウルか、ショートゴロがせいぜいでしょう。それを『進塁させるために』、しっかり振り切って、ファーストゴロ。そうしたチームバッティングができる。狙い打ちもできる。しかもそれを実現できるなら、毎打席色んなことを吸収できますからね」

 一方、こうした規格外の能力を見せるがゆえに、渡辺コーチはこんな指示を出している。